まわる。マワル。廻る。 壱の八 ガーーーーーーーーン ちろっと先生を見れば、口をぱかっと大きく開けてショックで打ちひしがれているようだ。 先生よ…。 ショックを顔に出しすぎだぞ…。 あぁ、なんて、教師らしからぬ先生…っ! あぁ、なんて、教師らしからぬカワユさ…っっ!! 私は、この太郎……、違った違った違った。 教師をこれから1年間、見守ってやることを、一人心の中で決意した。 「―――かっがやぁーーけっ、うぅみぃーーに、われらっのーーぉ、 大海小学校ぉーーー♪ チャンチャチャンッ!」 校歌を一人大声で歌いながら、凰雅は私と繋いでいる手をぶんぶん振り回し、歩いていたのに、 丁度歌が終わったと同時にピタッと止まった。 「のわっ!!」 凰雅の珍しく可愛い様に温かい目を向けていたら、止まったのに気付かなくて前につんのめった。 「なぜ急に止まるのだっ!!」 そう怒鳴れば、 「だって、オレの家、着いたもん。」 そう言われた。 横を向けば、確かに凰雅の家の前だった。 凰雅を観察するのに忙しくてちっとも気付かなかった……。 くっ、不覚を取ったな…。 近距離組みはかなり小学校から近い所に自宅がある。 校歌の三番まで完唱すれば、到着するのも当たり前。 「オレっち寄ってく? ういぃーってヤツ買ってもらったんだっ!」 はぁ…。最近の子どもは…。 「ゲームばかりでなく、子どもらしく外で遊べ…っ!」 ふぅー、言ってやったぞ。 「だって、オレは兎も角、波輝、“運動おんち”じゃん。 一緒に外で遊んだって、ちっとも面白くないじゃんっ!」 むむぅ…、確かに…。 またもや、凰雅は可愛くないことを言う。 こう見えて、前の私はだな…っ! 前の私は……………、やはり運動おんちだったな…………。 「分かった。少しだけだぞ…? 電話をかしてくれ。 母に連絡をするから。」 「うんっ!」 そう言って、笑顔で凰雅は手をぐんぐん引っ張っていく。 あぁ、なんだ…。 やはり凰雅は可愛いではないか。 「ただいまぁーーーっ!!」 「こんにちはぁー、お邪魔しまーすっ!」 私は凰雅に続き子どもらしく元気に挨拶をして、凰雅家にお邪魔させてもらう。 「はいはい、お帰りなさい凰雅。 あらあらぁ。可愛いお客さんだこと。」 笑顔で玄関にやってきた凰雅母は、凰雅に挨拶を返し、私に向かって可愛いと言った。 まぁ、無邪気さを演じる私は、可愛らしく見えるのかもしれないなぁ…。 「手洗いうがいしてから、遊びなさいねっ! 後でおやつ持って行くから。」 [*前へ][次へ#] [戻る] |