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まわる。マワル。廻る。
壱の四

『―――皆さん、お早うございます。 今日は、8時10分から始業式があります。
 10分前には北校舎ホールに集まるようにしましょう。 今日も一日、元気に頑張りましょう。―――』

放送委員の六年生の声が、スピーカーを通して聞こえてきたことで、伊熊との会話は終了した。

それを聞いた児童達は、次々と教室から出て、番号順に整列する。

さすが、私学。
中学年には、教師がいなくとも児童達だけで行動出来るようになる。

北校舎ホールはこの教室から直ぐ。
オープンスペースを通り、階段の方に向かえばそこへの入り口がある。

ホールと言っても、小さい体育館のような作りになっている。
上靴から体育館シューズへと履き替え、5年2組の位置で、私達の集団は並ぶ。
出席番号1番のヤツが、整列をさせ、落ち着いた所で、体育館座りで待機する。

私の前には、伊熊。 後ろには凰雅。
確りしている二人は、ふざけて話しかけたりしてくることはない。

ただじっと待つのは暇なので、楽しみを探す。
ホールの一番前には、ちんまりとした集団が並んでいた。

あぁっ可愛いっ!! なんて可愛いんだろうっ!
癒されるぅーーー。 やはり、低学年が一番可愛いなぁーー。
あぁ、かわゆい! かわゆすぎるーーっっ!! 正に純真無垢の天使のようだ…っ!!!

優秀な児童達が、静かに待つのを良いことに、私は一人、子ども達を観察しながら思考を暴走させる。

何と言ったって、私は可愛いもの好きだからなっ!
小さい子なんて、ドストライクさっ!


*****



始業式はもう終盤。

ここの校長もなかなか、良い話をするではないか…と一人感心していた。

「――では、次に、教務主任の落合先生から、クラス担任の発表をします。――」

その声を合図に、今まで静かだった児童達がざわざわとし始めた。

それは当然のこと。 自分の担任が誰になるかは気になるものさ…!

順番に発表されていき、

「ヤッタァーッ!!」 「きゃーっ!」
「あ゛ぁ、終わったぁーーっっ!!」 「ぎゃーーっ!やめてくれっ!」

等と中学年以降の児童が様々な叫び声を上げる。

ふふっ。 確りしていると言えど、こういう時は、まるで普通の子どもだなっ。

「―――続いて、5年2組。 沢野 達也(さわの たつや)先生。 彼は、新任の先生です。―――」

なんとっ!
随分若い教師が当たったものだな…!

女子も男子も喜びの声を上げている。
後ろに座っている5年生の位置からは、その教師の顔を確認することは不可能。

小学校なんて、若ければ顔がどんなでも喜ばれるものだ…。


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あきゅろす。
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