まわる。マワル。廻る。 壱の四 『―――皆さん、お早うございます。 今日は、8時10分から始業式があります。 10分前には北校舎ホールに集まるようにしましょう。 今日も一日、元気に頑張りましょう。―――』 放送委員の六年生の声が、スピーカーを通して聞こえてきたことで、伊熊との会話は終了した。 それを聞いた児童達は、次々と教室から出て、番号順に整列する。 さすが、私学。 中学年には、教師がいなくとも児童達だけで行動出来るようになる。 北校舎ホールはこの教室から直ぐ。 オープンスペースを通り、階段の方に向かえばそこへの入り口がある。 ホールと言っても、小さい体育館のような作りになっている。 上靴から体育館シューズへと履き替え、5年2組の位置で、私達の集団は並ぶ。 出席番号1番のヤツが、整列をさせ、落ち着いた所で、体育館座りで待機する。 私の前には、伊熊。 後ろには凰雅。 確りしている二人は、ふざけて話しかけたりしてくることはない。 ただじっと待つのは暇なので、楽しみを探す。 ホールの一番前には、ちんまりとした集団が並んでいた。 あぁっ可愛いっ!! なんて可愛いんだろうっ! 癒されるぅーーー。 やはり、低学年が一番可愛いなぁーー。 あぁ、かわゆい! かわゆすぎるーーっっ!! 正に純真無垢の天使のようだ…っ!!! 優秀な児童達が、静かに待つのを良いことに、私は一人、子ども達を観察しながら思考を暴走させる。 何と言ったって、私は可愛いもの好きだからなっ! 小さい子なんて、ドストライクさっ! 始業式はもう終盤。 ここの校長もなかなか、良い話をするではないか…と一人感心していた。 「――では、次に、教務主任の落合先生から、クラス担任の発表をします。――」 その声を合図に、今まで静かだった児童達がざわざわとし始めた。 それは当然のこと。 自分の担任が誰になるかは気になるものさ…! 順番に発表されていき、 「ヤッタァーッ!!」 「きゃーっ!」 「あ゛ぁ、終わったぁーーっっ!!」 「ぎゃーーっ!やめてくれっ!」 等と中学年以降の児童が様々な叫び声を上げる。 ふふっ。 確りしていると言えど、こういう時は、まるで普通の子どもだなっ。 「―――続いて、5年2組。 沢野 達也(さわの たつや)先生。 彼は、新任の先生です。―――」 なんとっ! 随分若い教師が当たったものだな…! 女子も男子も喜びの声を上げている。 後ろに座っている5年生の位置からは、その教師の顔を確認することは不可能。 小学校なんて、若ければ顔がどんなでも喜ばれるものだ…。 [*前へ][次へ#] [戻る] |