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まわる。マワル。廻る。
弐の一

ふらりふらり  ふらりふらり

くるくるくる、くるくるくると回っている。 まわって、マワッテ、回り続ける。

ふらりふらり  ふらりふらり………バタンッ。

バタンと倒れてその揺れは止まった。 くるくると回るのも止まった。



「きゃー!沢野先生!」
「誰かー!先生が大変なんですっ!」

ふらりふらりと揺れて、くるくると回っていたのは、俺の体と目だったみたい…。

――ごめんなさい。限界みたいです…。


*****


「うぅん…。 うーーん………。」

はっ! ここはどこっ?

ガバッ

なんで自分が寝ているのか分からなくて、飛び起きた。
まだ頭がぼぅっとする…。 とりあえず周りを見渡してみる。

「――みんな真っ赤なのに、一匹だけ真っ黒なんだよー。――」

ここは辺り一面真っ白なんだよー。

なんだか遠くから、国語の教科書にものっているあの有名なお魚のお話が聞こえてくる…。

教科書? 国語?
……そうだ! 学校…! 小学校だった!

真っ白なのは保健室だから…?
俺…、そうだ…。 一昨日も昨日もちっとも寝れなくて…、それで…。

――どうしよう…っ。2日目にしてやっちゃったよぉー。
俺のバカー! うわーん、どうしようっ、どうしよう…っ。

自分のダメっぷりに涙が出そうになって、目をごしごし擦って誤魔化した。
下を向いて、シーツをぎゅっと握って一人反省会を開いていたら、

シャーッ

と急にカーテンがひかれた。
そこに立っていたのは、優しそうなおばさんだった。

「沢野先生?目が覚めましたか?」

「……はい…。ごめんなさい…。」

怒られるかと思って、再び下を向いてしゅんとする。

「寝不足による貧血のようですね。
 始めのうちは仕事に慣れなくて大変かもしれないけれど、その内きっと慣れますよ。」

優しい言葉が頭の上から降ってきた。
その声に少し安心しておばさん…保健室の先生の顔色を伺ってみる。

「顔色も戻っているので、もう大丈夫ですよ。元気に教室にいってらっしゃい。」

凄く優しい顔をしている…。
温かい雰囲気がまるで田舎のお母さんみたいだぁ…!

「有難う…っ、お母さん…!」

笑顔で元気良くお礼を言ったら目を見開かれた。
あれ?なんで…?

……はっ!間違えたっ!

「じゃなくて…っ、有難うございます!先生!
 俺…、俺っ、俺っ、もう大丈夫なんで行って来ますっ!!」

恥ずかしさのあまり顔が真っ赤に茹で上がった。

バタバタバッタン

顔を見られたくなくて、急いで出て来たら………上履きを忘れてきた。

――俺のおっちょこちょい!


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