silent child
14
カレンと約束したんだ。
今日のライブで、カレンに沢山の勇気を与えられるように、僕はいつも以上に沢山頑張るって。カレンが、大好きな彼を、クリスマスに誘えるように……、僕はライブを頑張ることで応援するって。
だから僕は――、頑張りたい。僕に頑張る理由を与えてくれたカレンに、頑張って欲しいから。
心の底から応援したいと思えるカレンのためになら、いつもよりも頑張れる気がする。
ライブハウスの中には、既に他の参加者が集まっていた。
周りをざっと見渡してみると、やっぱり高校生が多い。中学生の僕達は、何となく肩身が狭いなって思ったのは僕だけみたい。3人は平気そうな顔をしていた。
「わぁーお!やっぱしサンタ率が高っけーなぁ!」
「ほら見ろ。止めて良かっただろ?」
いつも衣装に懲りたがるマサキ。クリスマス前ということで、今回はサンタのコスプレをしようと言い出したんだ。ダイキは「そんなだせぇこと出来っかよっ!」と猛反対して、ケンカになりかけたんだっけ。大和が「サンタは他とかぶって目立たないぞ」って言ったおかげで収拾がついたから良かったけど。
大和の言った通り、サンタやトナカイのコスプレが多い。やっているのは殆ど女の子達。でも、可愛いから、それはそれでいいと思う。
中には、全身きぐるみの人も居て、それでライブが出来るのかなって、いらない心配していた。
「俺等もコレつけようぜ! 目立たないと寂しいじゃん!!」
「おー、そうだな!」
「ちっ……。」
(ギリギリでも良くない?)
乗り気なのは、きっとマサキと大和だけ。
結局僕達の衣装は、マサキとダイキが赤系のコーディネート、僕と大和が緑系のコーディネートをすることになったんだけど、マサキが「それだけじゃ、つまんない」と言って登場したのがコレ。
器用なマサキは自分でパチパチとつけていく。
「どうどう? 上手くついてる? 俺、可愛いっしょ?」
(確かに、可愛いけど)
マサキがつけたのは、トナカイの角。ピンになっていて、髪に留められるようになっている。
ダイキのはハット型サンタ帽子。大和のは、トナカイの角付きとんがり型サンタ帽子。僕のはなぜか……、クリスマスツリー。
「憲太のかしてみな! 付けてやるから。」
(恥ずかしい)
頭にツリーくっつけるとか、とてつもなく恥ずかしい気がしてきた。でも、3人はもう付けてるし、僕だけ後でってわけにはいかないよなと思い、渋々大和に手渡す。
大和に髪を触られるのは、ちょっと気持ちが良かったりする。
パチン
髪が引っ張られる、変な感触が慣れない。
「出来た! おぉー、似合う似合う! 憲太、可愛いぞっ!」
(可愛くなんかない!)
心の中で否定しながらも、顔がやけに熱くなるのを感じていた。
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