silent child
22
僕の手は僕のズボンではなくて、石川君のシャツの襟を掴んだ。
――もうズボンなんかどうでもいいっ!
「なんだよっ?! このダンマリ野郎がっ!!」
――熱い……っ。熱いっ!
「〜〜っ。」
僕は、石川君を思いっきり睨んで、襟をギリギリと力一杯締める。
喉が……、熱い。熱すぎて……、息が漏れていく。口が……、パクパクと開閉を繰り返す。
「ごめんなさぁい、許してー、とでも言いたいのかよっ?!」
「〜〜っ、〜〜ぃっ。」
喉が熱くて……、熱すぎて……、何かが飛び出そうなんだ。我慢できなくて――、今少し……、何かが漏れた気がした。
「はぁ? 聞こえねぇんだよっ! ダンマリ野郎っ!!」
――もう限界。
「〜〜っ、なぃっ!」
喉に突っかかっていた熱い何かが――、飛び出て行く。
「はぁ?」
――勝手に飛び出て行く。
「〜〜ないっ!!」
「はぁ?」
――目の前も頭の中も真っ赤で……、もう何も考えられない。
「〜〜じゃっ、ないっ!!」
「えっ?」
「〜〜なんかじゃっ、ないっ!!」
「……っ。」
「〜〜っ、ダンマリ野郎なんかじゃっ、ないっ!!」
「僕はっ、ダンマリ野郎なんかじゃっ、ないっ!!」
「僕達はっ、おホモダチなんかじゃっ、ないっ!!」
「僕はっ、女なんかじゃっ、ないっ!!」
「僕はっ、おっぱいなんてっ、くっついてないっ!!」
「僕はっ、おっぱいなんてっ、感じないっ!!」
「僕にっ、アレが生えてないわけっ、ないっ!!」
「僕はっ、つるつるなんかじゃっ、ないっ!!」
「そうじゃないっ!そうじゃないっ!!」
「全部っ、そうじゃないっ!!」
「違う!違う!違う!!そうじゃないっ!!」
「全部っ、違うっ!全部っ、そうじゃないっ!!」
はっ、はっ、はぁ。
「ぷっ。」
「アハハハッ! 何だよっ、ソレッ!何言うかと思ったらっ! つるつるなんかじゃないーだってぇー? アハハハッ!! おっぱいなんて感じないーだってぇー? ヒィー、苦しいっ! ハハハッ!!」
石川君の笑う音が聞こえてきて……、僕は漸くいつもの僕に戻ってきた。
よくよく考えてみたら、僕……、なんだか凄く変なことばかり叫んでなかった?
「ぷっ。」
「「アハハハッ!!」」
自分で自分がおかしくて、石川君と声を合わせて笑っちゃった。もう大爆笑。
怒った顔して叫んだくせに、変な言葉ばかりなんだもん。
「あー、マジウケた。」
「……っ、〜〜っ。」
漸く笑いが収まったと思ったら――、今度は僕の目から、涙がボロボロと零れ出した。
――熱い……っ、熱いっ!
今度は目が熱い。熱すぎて……、目がパチパチと開閉を繰り返す。もう、止まらない。
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