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silent child


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 今思えば……、僕の人見知りはそれ以来、悪い方向へと加速運動を始めた気がする。
 あっ君とピーちゃんとの出来事が、僕の中でトラウマになっているのかもしれない。

 だけど――、僕は知ってる。

 ピーちゃんが悪かったわけじゃない。
 もちろん、あっ君が悪かったわけでもない。

 悪かったのは――僕。
 たったの6文字を音にすることの出来なかった僕。トラウマと言っても、僕自身が悪かったことを……、僕はちゃんと知っている。


「憲太ーー、帰ろうぜぇ?」

 昔を思い出している間に、学校は終わっていた。
 大和は鞄を担ぎ、僕の直ぐ隣に立っていた。慌てて僕も、机の中身を鞄に詰め込む。
 僕がのろくたしていたせいで、またあの子が近づいてきた。

「滝くーん、今日一緒にカラオケ行かない? ……高木君も。」

 大和は女子に昔からよくモテる。
 多分佐藤さんも大和のことが好きなんだろうなって思った。僕は正直、佐藤さんのことが好きじゃない。

「ごめーん。俺、実はオンチなんだよねー。とてもお披露目出来ないやぁ。」
(嘘。大和、本当はわりと上手)

「マジー? 意外! それもそれで可愛いけどね。」
「それじゃぁ、また明日ねー。」
 大和は僕の手を引いて、教室を出た。

 凄く嬉しかった。佐藤さんより、僕を優先してくれて……、僕のために嘘をついてくれて……。やっぱり大和のこと……、大好きだって思った。

 そのまま大和は僕の家に遊びにきた。
 一緒にゲームしたり、雑誌や漫画読んだり、食っちゃべったり……、それが僕等の日常。

 夜8時。大和が音楽番組を見たいと言い出した。今日は大和の好きなバンドが出る日らしい。

「やぁっぱ、カッチョイイ! 何て言うの? 何かカリスマ性を感じるー!」
「うわぁー。結構凄い衣装だねー。」

 大和の好きなバンドは、こてこてのロック。髪の色も目の色も服の色も凄い四人組み。僕は全く興味が無くて、彼らのバンド名すら知らない。

 暫くして、彼らのトークが始まった。
 初めは、大和が一生懸命説明するのを、ふーんとか、へーとか聞き流して、テレビを見てた。だけど、ギタリストの意外な一言に、僕は一気にテレビに食いついた。

『俺、実は、昔は凄く“暗い子”だったんですよ。』
(まさか、冗談でしょ?)
 彼の容姿は、何もかもが派手で、奇抜で、逆に“明るい子”代表に見える。

『前髪で必死に顔隠したりなんかしちゃってね、ははっ。今思えば可笑しいんですけど。そんな自分が嫌いで、何か始めようって思ったんです。親戚の兄ちゃんにギター勧められて……、弦を初めて弾いた瞬間――、何かが変わった気がしたんです。』


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あきゅろす。
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