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予測不能な未来


 このスキャンは地区へ立ち入る際に必ず受ける検問のようなものである。
 瞬間的に個人情報を読み取り、事前に送られているデータと照合し、同一人物か否かを確認する。
 ここまで徹底する理由は、ここが、権利をもつ者だけに許される特別な地域だからである。


 あっという間に、レーザー光線は天覇達の目の前。

(大丈夫、……大丈夫)

 天覇は全身に冷や汗をびっしょりと掻きながら、心の中でその一言を只管繰り返す。





 気付けば――レーザーは天覇達を通り抜けていた。


 天覇はほっとため息を吐き、安心して全身の力を抜いた。
 しかしその瞬間――けたたましい警告音が鳴り響く。


《ビーー ビー― 不法侵入 不法侵入》


 機械特有の単調な声で、“不法侵入者”が乗り物内に潜伏していることを、検問官に報せている。

 ウゥーウゥーとサイレンが鳴り響き、赤いライトがゲート中で点滅し出す。
 「侵入者だっ!」と叫び出す同乗者や、赤く照らされた乗り物内を見て、天覇は頭が真っ白になり、ただ目を見開いて固まることしか出来なかった。

 隣に座るパウロが、安心させるために天覇に声を掛ける。

「大丈夫ですよ。誤作動ということも……百万分の1くらいの確率で有り得ますから」

 百万分の1。そんなこと絶対に起こるはずがない、天覇はそう思った。


ウィーーン ガッシャン
ドカドカドカ ガチャガチャガチャ

「全員その場を動くな! 両手を頭上で組め!」


 突如開かれた乗り口から、黒色の服を纏い、完全装備をした検問官が5名乗り込んできた。
 銃口は乗客へと向けられている。

 固まって動かない腕をなんとか持ち上げて、天覇は指示に従う。
 今までに経験したことのない状況に、天覇はパニックを起こしそうになっていた。

(怖いっ。天華、大丈夫って言った……っ)


「この中に不法侵入者が居ることが判明した! 今から個別検問を開始する!」

 リーダー格の検問官は宣言した後、手でサインを出す。
 その指示に従い、前方にリーダーともう一人を残し、他の検問官は乗り物全体に散らばった。
 天覇の直ぐ隣にも検問官が一人立っている。
 銃口を間近で向けられ、恐怖が全身を駆け巡り、抑えることの出来ない震えから、歯がカチカチと音を立て始める。


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あきゅろす。
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