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君がすきだと叫びたい

「あんたは狡い」




垂れた耳がひくりと動く。

アリスはそれを見つめて何も言わない。何も言えない。




「夢だって信じて俺から遠ざかって、どうして」




嘘は吐くなよ、

俯いた顔はアリスから見えず、ただその夕焼け色の髪が風にゆらりと揺れる光景だけがそこにある。

歩み寄ることも出来ず、アリスはそこに立っていた。




「アリス、いやだ」




震える声は弱々しくて、切ない。

いやなんだと繰り返す声にアリスは口を開いて、また閉じる。

かける言葉すら見つからない自分が酷く憎らしくて、アリスは手のひらを力一杯握った。




「いやだ行くな、…行かないで、くれ」




埋まらない距離を縮めることが出来ない。

帰らないでと切望する声に応えてあげたいのに、それを邪魔するのは自分自身で。




「…エリオット、信じて」




漸く落とした言葉も偽りで覆われてアリスはそれを唱えるしかなかった。

信じて、私を。





「…嘘つき」





呟かれたその言葉が昏い部分に深く突き刺さってえぐり込んで。

嘘で覆うならいっそ、帰らないと吐いてしまえばいいのに。

それも出来ずにアリスは夕焼け色を曇らせる。


届かない距離はその侭、













貴方を置いて

私は悪夢へ















e.

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