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牧物
*未来に描く(ダニチェ)


「チェルシーの夢って、なんや?」


水面に浸る糸をのんびりと眺めながら、ぽつり、ダニーが洩らす。

『唐突だね?』
そんな呟きに小さく微笑みながらチェルシーもまた、水面へ垂らした糸に視線を移した。

静かな昼下がりの海辺。波の音だけがただ、二人の合間をすり抜けてゆく。


「出来れば、牧場をもっと大きくしたいかな?牛とか、羊とか、酪農にも手を出してみたいし」

「牧場好きやもんな、チェルシー」

「うん!でも、一番の夢は他にあるんだよ?」


おどけたように竦められた少女の華奢な肩から流れ落ちたのは、サラリと艶やかな髪。柔らかく潮風に揺れた亜麻色の髪が、赤いバンダナが、静かに青年の心拍数を高めてゆく。


「一番か、それは是非聞いてみたいわ」


出来るかぎりの冷静を装いながら、だけどやはり、はやる気持ちを押さえきれずに思わず言葉がダイレクトになる。

(さすがにまずかったやろか?)

自身の言動を振り返り、意味もなく釣り竿を引き寄せるダニーとは対照的。特に気にした様子もなく、当のチェルシーはやんわり頬笑んだ。


「私の夢はね、多分ダニーくんと同じだよ」


何やら意味深な言葉。
そこに込められた少女の真意に気付いた青年が頬を赤らめながら、無意識にポケットに忍ばせていた青い羽を握り締めた。


未来に描く

(その先に君が居てくれたなら)

END




椿さんの運営する【星達の故郷】の壱万打記念に捧げるダニチェ小話。
青い羽なお話、今回はダニチェでチャレンジしてみました。プロポーズのシチュを考えるのが思った以上に楽しすぎて若干戸惑っています。また他キャラでもチャレンジしてみようかしら。

かなり私の趣味が入った小話ですが、どうぞ受け取ってやってくださいませ椿さん…!!サイト壱万打、おめでとうございました。


2012.2.5 加筆・修正

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