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なんなら家族、はじめませんか?
お風呂-In case two-
※浩視点






脱衣所で殊更ゆっくりと服を脱いでいく。どうしても打ち身や治りきっていない傷は痛むから。



隣ではサキさんが洗面台に外したアクセサリーを置いている。Yシャツは全開でボクサーパンツ一枚を身に纏うサキさんははっきり言ってすごく男らしい。



適度についた筋肉や、広い胸板が格好良くて自分の貧相な身体を見せるのを躊躇う位だ。


俺の視線に気付いたサキさんがこちらを見る。目があうと何故か心臓がドクンと大きく波打った。


「どうした?」


「えっ、と…」


「あ、服脱げないか。手伝うよ」


「え?あ、の」


じっとしてろよ、とシャツのボタンを外される。確かに自分でやるより早いが、なんだか居心地が悪い。

女じゃあるまいし、なにどぎまぎしてんだよ俺は。


「はい、終わり。下は自分で出来るか?」


「出来ます……ありがとう、ございます」


恥ずかしさを誤魔化すために、躊躇いつつお礼を言うとサキさんは笑って頭を乱暴に撫でた。



この暖かい手のひらで頭を撫でられるのが今日一日だけの夢だとしても、俺は幸せに違いない。



先にお風呂場に入っていったサキさんを見つめながら俺はそっとくしゃくしゃになった髪に触れる。





…泣いてしまいそうだった。








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