005
本鈴が鳴る頃にようやく教室に付く。
「じゃあ“また”ね、梓ちゃん」
先輩はそういうとフラフラと去っていった。
ガラッと教室の扉を開けると冷たい視線がこちらへ向けられる。
「おい、小田!お前なんであの人と一緒に来てんだよ?」
席に着いた途端に親友の相模孝平(さがみこうへい)が話しかけてきた。
「あの人って、宮本先輩?」
「それ以外に誰がいンだよ」
相模は見た目こそ可愛い系だが、中身は俺なんか比にならないほど男前だ。
「小田、あの人はやべぇぞ…」
本鈴まで続いた相模の『宮本武勇伝』により、SHRの内容は一つも頭に入ってこなかった。
ここら一帯をシメてる族の総長で、喧嘩っ早い。一発喰らえば即病院送りにされる。
最近学校が静かだったのは宮本が停学中だったから。
そして抱いた女は4桁以上という女タラシ。
−−ねぇ、相模。それってほんと?
だとしたら俺…………
「相当やばくないですかああああああー…」
吐き出す用に叫ぶとクラスメートの視線がチクチク。
「ゴホンッ。小田、落ち着いて話しを聞け」
担任の山岡先生にも怒られちゃって若干ヒステリックな俺。
だって、だってだって。
先輩、『また』って言ってたんだよー………
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!