003
ー……ピピピピッピピピピッ
「ふぁー…よく寝た」
昨日は家に帰ってからソッコーで寝たから大体10時間近く眠っていた。
まだ少しぼんやりとした頭で洗面所ヘ向かう。
『梓ちゃんが可愛いから』
鏡に映る自分の姿はやはりその言葉からは掛け離れていた。
8時ジャスト。いつものように家を出て、今日一日を過ごす学校へ向かう。
校門の近くまで行くと、いつもは賑やかなのに何故かみんなコソコソしている。
「なんでだろ?」
周りにならい俺もコソコソと通りすぎようとしたその時、静寂は破られた。
「おっはー!梓ちゃんっ」
オレンジ色の太陽のような頭をした救世主サマが立っていた。
「おおおはようござましっ」
あちゃー、噛んじゃったよ。恥ずかしいし、周りの視線が痛いほど突き刺さる。
「…あの子が例の……」
「えー、嘘〜。平凡じゃん」
はいそこ、ひそひそ喋っても聞こえてますからね。
……大体、例のってなんだ?
っていうか、何で救世主サマがここに!?
「俺もこの学校の生徒なの!梓ちゃんの1コ上〜♪宮本先輩って呼んでいいよ」
この人はエスパーかっ!!!
確かに救世主サマ、もとい宮本先輩は俺と同じ、藍色のブレザーに袖を通していた。
…ただし着せられてる感満載の俺とは違い、オサレに着こなしている。
「ということで、一緒に行こ?」
差し延べられた手の意味は分からないが、遅刻になりそうな時間だったから、しょうがなく頷いた。
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