012 何も飾らないメタリックブルーの携帯に胸が踊る。 「小田、なんかいい事あった?」 隣から相模が少し不思議そうな顔で覗く。 「へ?…んーん、何も無いよ」 「にしては、にやけすぎ」 ふにっと俺の頬を摘む。 「いひゃい!ほんとに、なんにもないってばー」 「じゃあ、なんで授業中も携帯構ってるのかなー?いつも尻ポケじゃん」 「……たまたま、かなっ」 く、苦しすぎる言い訳だっ。 その時、知らないアドレスからメールが届く。 ======= title:無題 【本文】 梓ちゃんやっほ\(^O^)/ 宮本です。 今日の放課後あいてますか? 迎えに行きます。 ======= 先輩らしい文面。 ー……明るく取り繕う裏には少しの不安。 そんなことは俺には伝わらない。 「おい、小田。顔やべぇ」 「は?」 相模、なんで顔紅い? 「…なんつーか、エロい」 −−目元がほんのり朱くて、頬は上気し、唇はみずみずしい。 当の本人は知る由もなく。 「ありえないって」 ハハッと笑う梓の横で相模は大きな溜め息をついた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |