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122.戻るべき場所


ポロポロと涙を溢れさせながら、呆然とする私。



「クフフフ。貴女の元に舞い戻って来ましたよ」



そう言って私を抱き上げたまま、穏やかに微笑むのは、間違いない。本物だ。本物の――骸さん。



「あれれ?」



しかし、待ち望んだ再会を喜んだのも束の間。突如出現した予定外の来客に、白蘭は笑みを深め、右手中指に嵌(は)めたマーレリングに炎を灯す。

そして、そのままこちらに向かって突進する白蘭に対し、骸さんは左手に持った三叉槍で応戦。


バアァァン!!!


ぶつかり合う両者の殺気が、凄まじい衝撃と共に辺りの空気を震わせた。



「っっ」



その間、私は骸さんの背に庇われていたが、この至近距離。二人の放つ殺気に絶えきれず、その場に崩れ落ちそうになる。



「大丈夫ですか、名前」

「は、い」



しかし、迷惑を掛けまいと何とか踏み留まる私。

そんな私を横目で確認した後、再び白蘭へと視線を戻した骸さんは、瞬時に右目の文字を『一』に代え、幻覚を作り出す『地獄道』を発動させた。

その瞬間、白蘭の足下に亀裂が入り、地面から巨大な火柱が噴き上がる。



「Σうわぁ!?すげー!!」



幻覚とは思えない骸さんの技の威力に、腰を抜かしたらしい沢田さんが、驚愕の声を上げた。



「お久しぶりです。沢田綱吉」

「髪が伸びてる!!10年後の……骸?で、でも、怪我とか大丈夫なの!」



そう。私もそれが気掛かりだった。慌てて同じ疑問を骸さんに投げ掛けようとした、次の瞬間。



「――綱吉クンの言う通りだよ、骸クン」



炎の中から響く声。咄嗟に声の主を振り返えれば、そこには、微かな笑みを湛えた白蘭の姿が!



(骸さんの攻撃が全く効いていない!!??)



その事実に、私達は驚きを隠せないで居た。
対する白蘭は、涼しい顔で、尚も話を続ける。



「僕の部下に憑依した君は、あの時、精神ごと消した筈なんだけどな。少なくとも、こんな幻覚は、もう作れない程にね」

「確かに貴方の策略に嵌まり、密閉された空間に閉じ込められた時はもう駄目かと思いましたよ」



“一人でしたらね”

骸さんの言葉に白蘭は一瞬だけ瞳を見開く。けれど直ぐに納得したかのように「そっか」と一言。



「お仲間に外から穴を開けて貰ったのね♪」


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