あぁ〜…、目眩がして来た。『誰』が『何』を決めるですってえ???
この6人の中から将来自分の『夫』になる方を決めろと言うんですクワあああーーー///!!!
「そそそそそんな事、決められる訳ないじゃないですかあああ///!!」
「…何だ?好みの相手が居ないのか??」
「違いますぅ!!そうじゃなくて、皆さんにも心に決めた方が居るかも知れないって事を――」
いや。きっと居る筈だ。――何故って、こんなに素敵な方ばかりなのだから、世の中の女性が放って置く訳がない。寧ろ、恋人が居ないと考える方が可笑しいと思う。
私が訊いた事がないだけで…、きっと皆さんには素敵な女性が――…
「…そんな女居ねーよ」
「そんなのは居ねーな」
「そんな奴は居ないぞ」
「そんな人居ませんよ」
「そんな方居ませんね」
「そんなモノ居ないよ」
居る…と思ったのに、一同の『否定の言葉』が見事に重なり合った。
私はポカンと口を開けたまま6人を見つめる。その隣でラル・ミルチさんが、ふっと微笑んだ。
「どうやら問題はないようだな。……それに、仮にそんな女が居たとしても関係ない。さっきも言っただろう?お前達に拒否権は無いと…。6人の内の誰かは必ず名前と一緒になって貰う。……それが代々受け継がれてきた“歌姫と守護者の約束”でもあるからな」
「約束?」
「嗚呼。お前の祖母も先代の守護者から、お前の祖父を選んだんだぞ」
「おじいちゃん守護者だったんですか!!??」
言われてみると、祖父と過ごした記憶は殆どない。海外に行っていると訊いた事があるだけだ。
それがまさかボンゴレの守護者だったから――だとは思いもしなかった。
「分かったなら6人の中から誰か決めろ」
「そ、そんな事急に言われても――///」
「そうですよ」
やんわりと会話に入って来たのは風さんだ。
でも何故か私の後ろに回って、そのまま、むぎゅっと抱き締められる。
「ふふふ風さん!?///」
「一生を共にする大切なパートナーを決めるんですからね。急いで決める必要はありませんよ」
耳元で囁かれて、肩がビクリと跳ねる。だ、だって聞き覚えのある声が、聞き覚えのないような声で優しく囁くのだ…。
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