「ねえ名前。彼らと一緒になるのが嫌なら……私などどうでしょうか」
「へ???」
「貴女の事――、幸せにしますよ」
「!!!/////」
頭がクラクラして来た。冗談だと言う事は分かっている。分かっているけどやっぱり恥ずかしい!
「顔が真っ赤ですよ?可愛らしいですね」
抱き締める腕が更に強くなる。ドキドキドキ。心臓が飛び出しそうだ。
「ねえ」
その時、前方から同じ声が聞こえて来た。そちらを見ると、そこには私を抱き締めている人と同じ顔の雲雀恭弥さんの姿。
「君、なに勝手に決めてるの?…咬み殺すよ?」
「これは失礼しました。ですが私に言われて腹を立てる位なら、ご自身で言われてはどうですか」
「「………」」
恐らく、周りで見ている面々には貴重な映像をお届け出来ている筈。何せ、同じ顔の人間が、対照的な表情で見つめ………合っているのだから。
「兎に角、今日からこの6人は名前の婚約者候補だからな。この中で誰を選ぶか、ちゃんと決めて置け。良いな…」
ラル・ミルチさんはそう言うけれど……全然良くはない。いや、私は良いのだ。悪いのは守護者の皆さん。申し訳ない気持ちで一杯と言うか…。
長所は平凡。短所も平凡。取り立てて良いトコなしの私が相手では、さぞかし不満がある事だろう。これでは罰ゲームだ。
(な、何か良い方法を探さないと!!)
この時、私は本気でそう考えたのだった。
花婿は誰だ!?
(皆はそんな風に思ってないと思うけどな)
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