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小説
寒い日の朝#




──ピピピッピピピッピピッ、



携帯の目覚ましを止める。
少しの間だけ布団から腕を出しただけなのに、朝の冷えた空気が瞬く間に腕の体温を奪っていった。


(…寒い)


俺は出した腕を引っ込み布団に潜りこんだ。体中が暖かさに包まれて、またうとうととし始める…至福の時。

さぁ二度寝するぞ、そう思った瞬間──



「エーースっ!!!!!」

「うぉ!?」



何かが布団の上にジャンプしてきた。ちょうど仰向けになっていた俺の腹の上あたりに。朝からやめてくれ、まじで。



「…ルフィ、降りろ…」

「エース!!いつまで寝てんだ、もう学校行く時間だぞ」



俺の言葉を綺麗に無視してそのまま腹の上に馬乗りになるな!!布団越しでも結構苦しいんだぞ!!


「降りろ」

「起きろー!!」

「……俺は寝る。お前も寝ろ」


朝から元気だな、そう思いながら布団をかぶりなおしたとき。


「寝るなよエース!!学校行くぞ!」

「…っ!!?」


勢いよくルフィが布団を俺から引き剥がした。


「さっみぃ!!!!!!」

「そんな格好で寝てるからだろー」


確かに風呂あがりのまま寝て上半身裸だけど、今日は寒すぎる…!!てか窓開いてんじゃねぇか!!


「ルフィ!窓開けたのお前か!?」

「おぅ!見ろよエース雪降ってんだ!!!」

「お前…寒くないのか」

「え?………寒っ!!!」

「おせぇよ!!」


慌てて窓をしめるルフィを見つめながら、布団をたぐりよせてまたもそもそと入る。


「あ、ルフィ、」

「なんだ?…ってうわっ!」


俺はルフィの腕を勢いよく引っ張った。バランスを崩してルフィは俺の隣に倒れこむ。


「なにすんだよっ」

「俺の体冷やした罰。お前で暖まる」


ルフィの腰を寄せて布団の中に引きずりこむ。
抵抗しようとしたからすぐにルフィの体を片手で抱きしめ、もう片方の手で布団を頭からかぶる。


「エースー雪で遊ぼうぜ」

「お前学校行くぞとか言って本当は雪遊びしたかったんだろ」


ルフィを両手で抱きしめ直して耳元で囁いてやる。

くすぐったそうに頭を動かしながら、やっぱバレたか、としししと笑う。あー可愛い。つか暖かい。



「ルフィー一緒に寝るか」

「んー」


もう眠そうな顔をしてるルフィの前髪をかき分けておでこにキスをする。


学校なんて知るか。



今日はルフィと一緒にいよう。



そう決めて、ルフィを抱きしめたまま俺はまたうとうとと眠りについた。






──たまには寒い朝も、悪くねぇな。




そう思いながら。











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