小説
おかえり#
「─うぉ、もうこんな時間か」
今日は友達と散々遊びまくり、やっと解散したのがもう夜の1時を回ろうかという時間だった。
せっかくの休日、朝の8時から遊んでいたから、さすがにエースにもやや疲れの色がみえる。
(ルフィに会いたいなー)
(もう寝ちまった…よな)
1人悶々とルフィのことを思いながら夜道を歩いていった。
──ガチャ…
家に着き、多分寝ているであろうルフィを起こさないように静かに自分の部屋に行く。
「…?」
ふとリビングの方を見ると部屋の電気がついている。
妙に静かな空気を不思議に思ってリビングを覗いてみると、ソファの所で見慣れた人物が眠っていた。
「…ルフィ?」
「……」
ぐっすりと爆睡しているルフィを見て、ふと笑みがこぼれる。
(可愛いなぁ…)
そっと頭を優しく撫でてやるとその手に反応したのか、ゆっくりとルフィが目を覚ました。
「…エース…」
「おっと悪い、起こしちまったか」
頭をぽんぽんと叩くとゆっくりとルフィが起き上がり、いきなりエースに抱きついてきた。
「っうぉ!どうした、いきなり」
ぎゅう、と抱きついてくるルフィを同じくらいの力で抱きしめてやると、ルフィがぽつりと呟いた。
「…エースがずっといなかったから寂しかったんだ」
「え?」
「早く会いたかったから、おれここでエースが帰ってくんの待ってた」
いつの間にか寝ちまったみたいだけど、と呟く。
だからソファで寝てたのか、と納得しながらまた小さく笑みがこぼれる。
「…あんま可愛いこというな」
え、と顔をあげたルフィのおでこに優しくキスをした。
少し頬を赤くしながらも嬉しそうに微笑むルフィを見てるとエースの疲れも一気に吹っ飛んだような気になった。
とにかくルフィが可愛くてルフィを抱きしめている腕の力を強くすると、何かを思い出したようにルフィが叫んだ。
「あ!エース!」
「なんだ、どうした?」
「エース、おかえり!!」
「…っ」
エースの腕の中でニィっと笑うルフィ。
「ただいま、ルフィ!」
つられるようにエースもニィっと笑い返すと、しししとルフィも笑顔になる。
その笑顔が愛しくて、もう一度ルフィを強く抱きしめた。
── 一体、俺はどれだけこいつが大好きなんだろう
どうしてこんなにも愛しいんだろう
こいつの「おかえり」のたった一言だけでこれだけ癒されるなんて、俺はどれだけ幸せなんだろう。
「よしルフィ。一緒に寝るか!」
「やった!エース、寝ようぜ!!」
無邪気に喜ぶルフィを抱っこしてルフィの部屋に連れて行く。
ベッドに2人一緒に潜りこみ、体を寄せ合いながら、幸せそうに笑い合いながら2人は眠りに落ちていく。
自分の愛しい人が、
自分の帰りを待っててくれて
帰ってきたら笑顔で
「おかえり」って言ってくれる
それに笑顔で
「ただいま」って返す
それだけで十分、幸せだよな
うとうとしながらルフィの寝顔を眺めながらエースはこう思っていた。
(帰る場所がある、
愛しい人がいるって
こんなに幸せなんだ)
優しくルフィを抱き寄せて、エースも眠りに落ちていった。
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