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ショートストーリー
先生の手[氷河→カミュ]
我が師カミュは兄のようであり、あるいは父であり、もちろんマーマとは違うが時には母のように育ててくれたと思う。

先生は爪が割れてしまうとかで強化のためマニキュアを塗っている。
比べる相手がたまに遊びに来るミロくらいしかいないのでタイプが違うとしか言えないけれども、カミュ自身の上品な雰囲気そのままのきれいな手だ。

小さな頃、熱を出したときに眠るまでつないでくれた手。
誕生日にはケーキまで作ってくれた優しい手。



寒い季節は室内の暖房のために薪をたくさん必要とするが、先生はオレほどは寒くないみたいで。たいていがオレのためだったのだと気づいた。あのきれいな手にキズがつくのもイヤだったし、薪を用意するその仕事はいつの間にか自分の仕事となった。


陽気なミロが遊びに来たときは家事や料理を手伝おうとしてくれてすごく賑やかになる。「ミロはもうお客さんではないから氷河、仕事を教えてやってくれないか」と言う口調がやっぱりいつもより穏やかに感じるが、特別扱いしないでいつもと同じ生活をしようとしている。
・・・とは言ってもいつもと同じなんかにはならないけれど。
ミロは聖域の話題をたくさんしゃべってよく笑う。先生はいつもより口数が減ってうなずいてばかりになるけれど(ミロがよくしゃべるから無口になるとも言える)何だかたのしそうに見える気がする。

「あなたが来ると先生はたのしそうですよ」とミロに言ってみたら、「わかっている」と、とても嬉しそうに笑った。


この人も先生の手を大事にしている人だとわかった。


かけがえのない家族のしあわせを守り続けようと思った。




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あきゅろす。
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