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◯ハッピーバースデーver2011.2.14(鳳)



「長太郎、誕生日おめでとう!」

部活帰りになまえ先輩から渡された綺麗にラッピングされた小包。メッセージカードには『誕生日おめでとう!』と書いてある。

「わあ、ありがとうございます!」

「男の子の誕生日プレゼントって選ぶの大変ね。何買うかすごく迷っちゃった。」

「俺はなまえ先輩から貰えるんだったら何でも嬉しいですよ。開けていいですか?」

「うん、どうぞ。」

ラッピングを破らないように外すと中から見えたのは青い表紙のスケッチブック。

「あ、」

「マフラーか手袋にしようと思ったんだけど、冬はもうすぐ終わるから今さら新しいのはいらないかなって。それで長太郎って風景画描くの好きでしょ?だったらスケッチブックの方が役立つと思ってプレゼントしたんだけど…どうかな?」

「…チョコじゃないんですね。」

「え?」

「あっ、いや!違うんです!」

しまった。
これじゃまるでプレゼントが不満みたいな言い方じゃないか!

「あのっ、今のは不満があるとかじゃなくて…っ、俺の誕生日ってバレンタインなんでプレゼントはチョコがほとんどなんです!だからチョコじゃないのが意g「あー!」

誤解をさせないように必死で弁解していると突然大声を上げたなまえ先輩。
びっくりしてスケッチブックを落としそうになった。

「ど、どうしたんですか?」

「忘れてた……完全に忘れてたよ!バレンタインだってこと!」

「え?あの…」

なまえ先輩はその場に座り込むと頭を抱えた。
どうしようどうしよう…!とブツブツ聞こえてきてちょっと怖い。

「ごめんね長太郎。バレンタインってこと忘れててチョコ用意してないの。」

「いえ!そんなの全然構いません!俺はプレゼント貰えただけで本当に嬉しいですから。それにチョコはいっぱい貰ったんで十分なんです。」

「…へぇ。チョコは十分ねぇ……」

「え?」

「そうだよね。私のチョコなんてなくても長太郎はいっぱい貰えるから良いもんね…。」

え、なんか表情が曇ってうつ向いちゃったんだけど…もしかして泣…っ!

「私のチョコなんて長太郎はいらなかったんだ…っ」

「す、すみません!俺、軽はずみな発言してっ!なまえ先輩、泣かないで下さいっ!」

「……なーんちゃって。」

顔を上げたなまえ先輩の頬には涙なんて流れてなくて、むしろ楽しそうに笑っていた。

「今更、長太郎が貰うチョコに妬いたりしないよ。毎年妬いてたらきりないし。まぁ、あんまりにもサラっとチョコは十分。だなんて言うから面白くなくてついからかっちゃったけど。」

「からかっちゃったって…はぁ…やめて下さいよ、もう〜…」

「ふふ。じゃあ、帰ろっか。」

笑顔で手を差し出されたら憎めなくて、文句も言えず素直に握り返した。
けど、やっぱり少し悔しくて足を止める。

「長太郎?」

「誕生日なんで…我が儘言っても良いですか?」

「長太郎の我が儘かぁ…うん、いいよ。」

「じゃあ、バレンタインチョコ下さい。やっぱり…」





一番好きな人に貰いたいです

(あ、買ったチョコはダメですよ!手作りで。)

(さっきは十分でいらないって言ってたくせに〜。)

(なまえ先輩が意地悪するから仕返しです。)

(あははっ、可愛い仕返しだなぁ。じゃあ、とびっきりの本命チョコ作るから覚悟しといて!)

(はいっ!)






誕生日×バレンタインを上手く融合させたかったが無理だったみたいです。お陰様でごちゃごちゃ…
こんなんだけど長太郎誕生日おめでとう!バレキスは私にとって最高のバレンタインチョコだった!

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あきゅろす。
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