Song.7「お姉さんがいない朝」 −コンコンッ 「はーい。入っていいよー。」 「−カチャ。……マスター。」 「ミク?どうし………あれ?」 「マスター、あのっ…」 俺は一瞬誰が入って来たのかと思った。 声でミクだって分かってたけど…そこにいたのは『いつもの』ミクじゃなくて… 「ミクが髪結んでないなんて珍しいな。イメチェン…とか?」 もちろんいつものツインテールを揺らすミクも可愛いが、髪を下ろしてるミクもなかなか大人びていい。 「…違うんです。自分じゃ、結べないんです。」 「…ん?」 「私の髪はいつもメイコお姉ちゃんが結んでくれるから…。でも、今日はメイコお姉ちゃんが朝早くに出かけちゃって…。」 「あー。それで髪を下ろしたまんまなのか。」 「それで…マスターにお願いしに来たんです。」 「………。えー…っと…?何かな?」 嫌な予感がするな…。 何かな。って聞いたのはいいけど、明らかにミクが頼むことは分かってる。 「髪を…マスターに結んで欲しいんです!」 「(やっぱりそうきたか!)」 「ダメ…ですか?」 「いや!だ、大丈夫!やってあげるよ!」 「本当ですか!」 「うん。やってあげる…んだけど…」 「?」 「俺、人の髪…っていうか、自分の髪すら結んだことないんだ。(結ぶ長さもないし…)つまり…下手くそだと思うんだけど……それでもいいか?」 「…ふふっ。」 「?」 「マスターが結んでくれる……それだけで私は嬉しいんです!」 たまにはお姉さん代わりもいいかもしれない。 (ただいま。あら、ミク自分で髪結んだの?) (ううん!マスターに結んでもらったの!) (へぇ…マスターに……素敵な髪形にしてもらったのね。) (うん!) ((ふふ。マスターったら頑張ったのね。ありがとう。)) [*前へ][次へ#] |