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○★ハッピーバースデーver2012.9.25(切原)



『誕生日に一つだけなんでもお願い聞いてあげるよ。』



そんな魔法みたいに素敵なプレゼントをくれたなまえ先輩。
でもそれは一度きりの魔法で、でもなまえ先輩にお願いしたい事は山ほどあって結局何も決まらないまま誕生日を迎えた。

「ああ〜…どうすりゃいいんだ〜…」

「誕生日に浮かない顔だな赤也。」

「柳先輩……柳先輩なら彼女に一つだけなんでもお願い聞くって言われたら何お願いします?」

「誕生日を一緒に過ごすことだな。」

「柳先輩真面目過ぎっす…なんでも聞いてくれるのにそれでいいんすか!?えっちな事とか!」

「逆にお前がどれだけ不健全な事を考えているか知りたいな。」

「そりゃもうなんでもだから…!」

「「なんでもだから?」」

「ぶ、部長!急に参加しないで下さいよ!」

「ふふ。面白そうな会話してるなあ。って。で、どんな不健全なお願いするのかな?」

「そ、そりゃ……ちゅーして下さい…とか。」

「「………」」

「ぶっ…!お前、不健全なお願いでちゅーって…くくっ…」

「仁王先輩いつからいたんすか!」

「幸村のすぐ後に来たんじゃがのう。は〜、腹いた。」

「つか、柳先輩と部長はなんでさっきから黙ってるんすか!」

「ちゅーが不健全に入るかどうか考えて、まあ赤也のレベルなら入るのかと色々と考えていた。」

「俺は単に面白過ぎて声にならない笑いで苦しかった。」

「何が面白いのか全然わかんねーっす。」

「ちゅーか、不健全ならいっそ制服を脱i「で、本当にちゅーをお願いするのか?」



『…遮られたぜよ。』

『赤也に変なこと吹き込むなって柳の親心でしょ。』



「ちゅーもいいけど……色々あり過ぎて決まらないんすよお。」

「ほんならお願い事を100に増やしてくれ言うたらどうじゃ。」

「はっ!それいいっすね!だったら色々なお願い聞いて貰える…!」

「例え100に増やして貰ったところで今日の内に100のお願いが出来るのか?誕生日にお願いを聞いてあげると言うことは誕生日過ぎたら無効になるだろう。」

「今日中に100は無理っす!」

「ならもっとよく考えてお願いするんだな。」



『さっきから俺の提案バッサリやのう。』

『役に立たないね、仁王。』

『俺の心にトドメ刺すのやめてほしか…』



「…あ、なまえ先輩からメール。」

「早く行くんだな。もう赤也の誕生日が終わるまで6時間切ったぞ。」

「やっべ!お先っす!」

「ああ、良い誕生日になることを祈ってる。」

「ありがとうございます!」

「結局、お願いのアドバイス出来んかったな。」

「出来なかったのは仁王だけどね。」

「幸村なんて何も言わんかったやろ。」

「あーゆーのはアドバイスなんかしなくても自ずと答えが出るものなんだよ。ふふ。」

「お前さんどうやら赤也が無茶なお願いして、その後どうなるかを楽しみにしとらんか?」

「あ、バレた?いいアドバイスなんかしたら面白くなくなるしね。」

「歪んどるのお。」










「なまえ先輩っ!」

「部活お疲れ様。」

「待たせてすんません。」

「ううん。帰ろっか。」

そう言って差し出されたなまえ先輩の手を握る。なんか正直これだけで幸せで考えたお願いなんてどうでもよくなる気がした。

「(いやいやいや!でも折角、聞いてくれるっつーんだからお願いしないのは勿体ないだろ!)」

「………」

「(やっぱちゅー…?なまえ先輩優しいしちゅーしてくれるよな…いやでも先輩達に散々バカにされたし…)」

「………赤也。」

「(あ゛〜!もう全然わかんね!どうしたいの!俺、どうされたいの!?)」

「あーかーやーくん。」

「は、はいぃ!」

「お家着いちゃうよ?」

「え、は…マ、マジかよ!」

「マジマジ。で、どうしよっか?」

「え?」

「お願いは決まった?」

「あ、その……えーっと…!」

家から10mもない街灯の下でもいまだお願いは決まらない。日も落ちて辺りは暗くなってどこかで寄り道してなまえ先輩を引き留めるなんてことはもう難しい時間帯で……

「(余計テンパってもうなんも浮かばねえ…)」

返答を待つなまえ先輩は俺の事を急かさないけど、もうホント暗いし早く帰してあげないといけないのに。

「(あ、そういや俺まだなまえ先輩から……)」

誕生日の日だけ言って貰える言葉。なまえ先輩からプレゼントは貰ったけどまだ言って貰ってない。もうこんな悩むならこれでいいか。

「…なまえ先輩、お願いしていいっすか?」

「うん、なんでもどうぞ。」

「誕生日おめでとうって…言って下さい。」

「え?」

「なんかなまえ先輩にお願い聞いて貰えるって思ったら色々欲張って…結局決まんなかったんす。だから、まだ言って貰ってないし…あ、とびきりの笑顔でお願いします!」

「……ぷっ、ふふ…ふふふっ。」

「へ?え、な、なんで笑うんすか?」

「赤也の事だからもっと無茶なお願いするかなあ。って構えてたんだけど。予想外だなあって。」

「あ、はは…そんななまえ先輩が困るようなお願いしないっす(しようとしてたけど…)」

「そっかあ。それでいいのか……うん。」

「?」

「じゃあ、謙虚な赤也君に少しだけプレゼントに色を付けてあげよう。」

明るい街灯の下から出て暗い夜空の下に移動したなまえ先輩はおいでおいで。と手招きをする。
少し見えづらくなったなまえ先輩の顔は変わらずにこにこしてる。

「恥ずかしいからちょっと暗いとこでね。」

「はあ…恥ずかしいんすか?」

「ふふ。じゃあ、お願いのプレゼントしたいと思います。」

「お願いし……っ!」

伸びてきた手が俺の両頬を包んでそのまま引き寄せられる。少し冷たくなっていた手に意識を持っていかれて固まれば額に掛かった暖かい風。

「赤也、誕生日おめでとう。大好きだよ。」





初秋寒空の下、
額に触れた柔らかい


(…へへ…んふふ…うへへ〜…)

(なんなのあれ気持ち悪い。)

(今日は朝からずっとこんな感じだそうだ。)

(昨日のお願いが原因なのは分かるんじゃが…)

(それを聞いてもあの状態でまともに答えはしないんだ。)

(なんか気持ち悪い位幸せそうだから力づくでも吐かせたいよね。)

(お前さん本当に赤也に容赦ないの。)

(可愛い後輩ほど苛めたくなるって言うでしょ?)

(それ幸村の辞書にしか載っとらんぜよ。)






デビルでエンジェルな赤也君ハッピーバースデー!不健全なことはちゅー位しか思い浮かばないよ。エンジェルな中2ですから

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