★寝顔天使とパパラッチ(木甲平)
「うわぁ…可愛い…!」
長かった午前の授業がようやく終わり、お昼にしようと屋上へ続く階段を登って扉を開けるとそこには既に先客がいた。
「裕次郎と凛の寝顔2ショットとかおいし過ぎるでしょ!」
屋上全体を囲む柵に背中を預けて寝る二人はそれはもう気持ち良さそうに寝ていて、それはもう幸せそうな顔で…!
「は!写メっ、写メらねば!」
ポケットの携帯を取り出すとすかさずカメラを起動させて、画面に二人の寝姿を収めてシャッターを切る。
「やっばい!これやっばい!鼻血出るわ!」
「ちょっと。何してるんですか。」
「っ!」
「鼻血出るってなんですか。…頭、大丈夫ですか?」
「いや、だって見て!見てこの二人!可愛くない!?」
今しがたフォルダに収めた天使のような二人の寝姿写メを怪訝な顔の永四郎に見せる。
「どう!どうよ!?殺人級に可愛くない!?」
「こーゆーの盗撮っていうんですよ。」
「ん…」
「ぬー…うるさい〜…」
「あ!ちょ、ちょっと!静かに!二人とも起きちゃうっ!」
「甲斐君、平古場君。早く起きなさい。目の前に犯罪者がいますよ。」
「はぁ…?何の話だばぁ。」
「…zzz」
「平古場君。起きなさい。」
「起こさなくていいってば!まだ写メ20枚しか撮ってない!」
「訴えられる前に消しなさいよ。平古場君、早く起きないとゴーヤー食わすよ。」
「ーバッ! ゴーヤーは勘弁!」
「それでよろしい。…で、あなたは何してるんですか。」
「え?そりゃ、」
天使の寝姿を皆にお裾分け(横流し)ですよ。
(なまえっ、いつの間にこんなの撮ったんさ!凛!やーも撮られてるって!)
(あー?おお、わんやっしー。)
(なんで冷静なんだよ!)
(別に減るもんじゃねぇし。)
(ですよねー!じゃあ、寝起きも一枚!)
(カッコよく撮れやー。)
(はぁ…付いていけませんね。)
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