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笛を吹いて出会ったのは
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ぱちっと目が覚めた。
あれだけお酒を飲んだけど、すっきりと目覚めることが出来た。
…お風呂にも入らずに寝ちゃったなあ。シャワーしないと、肌がべたべたしていて気持ち悪い。
天井から掛け時計へと視点を変える。時刻は7時30分。まあまあな時間だ。昨日寝た時刻は覚えていない。
本当に、昨日は赤石さんに迷惑かけたなあ…。
月曜日お菓子でも作って持って行こうか。意外と甘いの好きだし、赤石さん。いや、ある意味王道だけど。…京は、どうだろう。
ぼんやりとそんなことを考えながら携帯を見る。新着メール一件のお知らせが目に入って、すぐにそれを開いた。
京からだ。…夕方からならいつでもきていい、という内容のメールだった。晩ご飯もこっちでどうぞ、と書いてある。
…手料理、なのかな。わ、どうしよう、何故か緊張してきた。
とりあえず了解、と送って、私は起き上がって準備を始めた。
今日も熱い。


シャワーをして、昨日のお店に自転車を取りに行った。夜以外はカフェをしていると聞いていたそこは本当にカフェをしていて、外にまでパラソル付きのテーブルを出していた。偶然、昨日バーに居た店員さんが、そのときはお客としてそこに居た。私よりもいくつか年上と思われる女の人と、小学校低学年ぐらいの女の子1人と。
ぼーっと見つめていたら目が合ったので、急いで会釈だけすると私は自転車に跨がって家に向かった。

家の中に入るなり私は扇風機の前へ駆けた。スイッチを入れて頭を固定して、風を受ける。一瞬あっぷあっぷと息が出来なくなり、慌てて扇風機から離れた。
…時々、本当に時々、どうしようもなく馬鹿だなあと自分で思うときがある。
誰にも見慣れていない分、何故かショックが大きい気がした。

さて、夕方まで暇だ、何をしていよう。
その前にお昼ご飯は何にしよう。
次々に浮かんでくる予定を組み立てるための問い。
その中、ひとつだけ異色のものが。
さっきカフェに居た店員さんと、あの女の人は、どういう関係なんだろう。
普通に考えれば、友達とか、先輩後輩の仲とか、でも、何か違う気がして。あの子は店員さんじゃない方のお子さんだと思うけど。
…なんであんまり知らない人たちのこと詮索してるんだ。けれど、あの2人を見ていたら恋人って言葉が浮かんできて。どうしてとか、わからないけど。
もしあの2人が恋人だったら何、て話になってくる。
もしそうだったら。
だったら、羨ましいな、と思った。




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