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リク(秀と奈美)


奈美が初めて泊まりにきてくれた金曜日。そして、土曜日の夜。
なんの勢いか、私は奈美を少し強引にベッドに引き込み、今は上に跨いで彼女を見下ろしている。
はっと意識したときに、私の心臓はさっき以上にうるさくなり、頭が沸騰しそうな程に熱を出す。それに恥ずかしくて、私は身動きがとれなくなった。代わりに奈美を見続ける、という行為はお互いに悪影響を与えるばかりで、私はとうとう裏返った声で出来るだけ小さく叫んだ。

「あ、あのさっ、…えと、ちょっとごめん」

奈美の上から退いて、部屋のドアまで行く。そして鍵を閉めてからベッドに戻った。

「真理たちが、もしも入ってきたら…ほら、うん…」

ベッドに腰掛けて、奈美を見下ろす。
赤くなっている奈美の頬をそっと撫でて、ゆっくり顔を近付けた。
すっと閉じられた目を確認してから、私も目を閉じる。軽く重ねるキスを何度も繰り返して、ふと止めてから瞼を開ける。同じように目を開けた奈美と目を合わせて、そしたらくすりと笑われた。

「先輩、子供みたいで可愛いです」
「こ、子供…?」

奈美の両手が頬に添えられて、じっと見つめられる。右手が私の頬を撫でたあと、両腕が首に回された。

「母性本能?ていうんですかね。そんなのが、くすぐられてる…ような気がするんです」

そんなことを言われて、本当に自分が子供に戻ったような気が、…いや、それはないけど。でも、とことん奈美に甘えてみたくなった。17歳の女が、16歳の女の子に。
ぐっと顔を近付けてもう一度キスをする。頬を一度撫でて、首筋に顔を埋めた。

「ん」

すぐ近くで漏れた小さな声。それに催促されたように、口を開いて甘く噛みついてみた。

「奈美」
「…なんですか」
「可愛いね」

くぐもった声を響かせてこんなことが言えるのは、顔を合わせてないから。
奈美が何か言う前に、そっと舌を出して首をつーっと舐める。奈美の体が強張るのを感じたら、すかさず唇を合わせて恐る恐る舌を差し出す。固く閉ざされた唇をつつくと、奈美も恐る恐る唇を開いて私を迎え入れてくれた。

「ん…っ」

苦しそうに呻いたのを聞いたけど、私は初めてするこのキスに夢中で。もっともっとと欲張って、無意識に深さを増していく。甘いはずのないこれを、とても甘く感じてしまう。

「もっ…」

とんとん、と背中に回されていた手に叩かれたので、一旦唇を離す。
奈美の口から少し垂れているどちらのかわからない唾液を親指で拭って、それを擦り付けるように唇を撫でた。奈美は肩で息をしていて、それは私も同じだけど。目を見るとうっすらと潤んでいて。ちろりと、舌先で指を舐められて。
今までで一番強く感じた。欲情する瞬間ってやつを。
私にも、一応性欲というものはあるらしい。…じゃなきゃ、こんなことにはならないか。

「ごめん、苦しかった?」
「…少し……でも、まだ…」

後頭部に手が回されて、ぐっと引き寄せられる。いつもの何倍も大胆なその行動に驚きながら、私は奈美と舌を絡めた。

カウントの仕方なんてない、長くて深いキスをし続けて、首に回された腕にも少し慣れた頃、私はやっと手を動かし始めた。

「はぁっ…奈美」

一旦離した唇から意味もなく名前を呼んで、もう一度くっつける。
右手で奈美のトレーナーに手を掛けて、ゆっくり上へと脱がしていく。膨らみの手前で動きを止めて、というより、躊躇ってしまった。ここまできて、本当にいいのか、なんて、私は唐突にびびり始める。これだからへたれは、と、頭の中で幼なじみに馬鹿にされた。

「ん…はぁ…、秀先輩…?」

唇を離して、固まった私を奈美が見つめる。真っ赤な顔や潤んだ目に、肩で息をする姿とか、濡れた唇、全部に惹きつけられて、でも。

「…本当に、私でいいの…?」

本当に私でいいのかと、不安になる。
奈美はぼうっと私を見つめて、突然ふわりと笑った。

「今さらなんですか? …そんな先輩も、私は大好きですけど、…今へたれないで下さいよ」

首に回していた奈美の手が私の首の皮をぎゅっとつまんだ。
反射で肩をすくめた瞬間、奈美の腕はするりと私から離れて、でも次にはぎゅっと背中を抱き締められていた。

「私は、先輩がいいんです。秀先輩じゃなきゃ、ダメなんです。……どうしてなんて、聞かないで下さいね」

耳元で囁かれた言葉は、私の背中を押すには十分で。目の奥がかっと熱くなったのは、私の一生の秘密だ。

「うん…」

そのあとはもう止まらなかった。
とりあえずトレーナーを脱がしたあと、耳にキスをして舌でつついて、その流れのまま首筋を伝って、初めてキスマークというものを付けた。なる程、これは見つかると厄介だ、というぐらいに痛々しく赤いそれに、私は再びキスをしてつーっと次は鎖骨に向かう。
鼻先でこすりつけるように撫でるとさっきから必死に沈黙を保っていた奈美が高くて可愛らしい声をあげた。

「こ、興奮し過ぎです…っ」
「ごめん」

全然思ってないけど。
それがバレたのか、奈美が控えめに睨み付けてきた。
…うん、すっごく可愛いだけ。
ぴくりと震えたりする弱々しい姿に、子犬や子猫の姿が重なって、猫耳とか似合いそうだな、と人のものである彼女の耳を撫でた私は病気に違いなかった。

鎖骨から胸に唇を這わせて、時折舌を出してみる。
一度奈美から距離を取って、全体を眺めた。…スタイル良すぎない…?
運動なんて体育ぐらいなはずなのに、どうしてこんなことになっているんだろう。
仰向けになっているのにぺちゃんとならない胸に、少し感動したのも秘密。

「…何カップ…?」
「……Dはありませんよ」

Cはあるってことだ。
…私はAだけど。

「………」

この美乳を今からどうにかするのかと考えると、全身に響くぐらいに心臓が騒ぎ出した。
でも止まるなんて、しないで。
…顔を見ないまま、唇を胸に這わせて。先端に近付いていく。
肌に吸い付いて、耳を胸に押し付けると、一定のリズムで、でもひどい速さで、奈美の心臓の音がした。一瞬も乱れないまま速さだけが増す音は奈美らしくて、けど、それをどうにか乱してみたくなった。

「…では、失礼して」

馬鹿みたいな一言を告げたあとに尖ったあれに指を這わせた。ぴくりと体を揺らした奈美に意識を向けながら、人差し指を押し付けて、手で全体を揉むようにして。
……これ、してる方もなんか恥ずかしいんですけど。
でもクセになるこの感触。なんせ自分はまな板ですので。気にしてないけど。
心臓の音が一瞬乱れたあと、私から見て右側の胸に唇を寄せていく。キスをしながら、つんと起っているものを口に含んだ。

「せんぱい…」

奈美の表情を伺うと眉を寄せて、浅い呼吸と深い呼吸を何度もしていた。赤い頬が可愛くて、うっすら濡れたままの唇が綺麗で、感じてくれてるのが嬉しくて。
無意識に近い意識で綺麗な唇にキスをした。
目を合わせて笑いかけると、奈美は笑みを浮かべてくれて。私はまた下へと向かう。
さっきとは反対側の胸に吸い付いて、先端を同じように口に含んで舌先でつついた。完璧に硬くなったそれを唇で緩く挟んで揺らしてみたり。
そっと、後頭部辺りを撫でられた。髪の間に指を通されて、指先で頭皮に触れられる感触に、私の背筋はざわざわした。

「なみ…?」

たまらなくなって名前を呼んでしまって。そうしながら奈美の顔を見ると辛そうで、私は疑問符を点けた。

「せんぱい…わたし、…たぶんもう」

濡れてます。
深い息と共に吐き出された言葉に、赤くなったのは奈美だけじゃない。

「わ、…わかった」

また裏返った声。
思わず目元に手をやってしまった。
ずっとそうはしてられないから、なにより勢いを失うことだけは避けたいし、右手をずっと下に這わせていく。
下着ごと穿いているものに手を掛けて、ゆっくりずらして、…一瞬下着との間に糸が引いたのが見えた。足首を過ぎて、もう何も身に纏っていない奈美が目の前に居る。私の目が泳いでいるだろうことは、言われなくてもわかっている。
そんな顔を見られる訳にはいかないので、私は奈美に覆い被さって、奈美の顔の横に頭を埋めた。

「恥ずかしくて、だからこの体勢で許してください」
「…普通、恥ずかしいというのは私の台詞ですよ」

くすりと耳元で笑われて、この体勢でも恥ずかしいのは変わらないと気付く。…どうしようもないや。
手が届く範囲で太ももを撫でたあと、ゆっくりと中心に向かった。

「…本当に、濡れてる」

やらしい音がする度に乱れた呼吸と動きが起きて、あそこはもっと湿って、私を誘う。
入り口はいつでも私を迎え入れようと開いてくれていて、私はつぷりと中指を奈美の体の中に沈めた。

「あ…っ」
「……あったかい…」

第一関節を過ぎてもスムーズに受け入れ続けてくれることも嬉しくて、私は奈美に声を掛けた。

「指、増やしても大丈夫?」
「ん…たぶ、…ひゃっ」

人差し指を中指に添えてもう一度奈美の中へ。
さっきよりも高い声をあげて、けれど声を抑えるという理性的な部分がまだ残っている奈美を、どうにか崩してみたい。そんなことを考える自分が居ることに驚いた。
ここじゃ出来ないことだけど。

私が動く度に声を出す奈美は、楽器のようで。私の楽器、とか…馬鹿なことを考えた。

「もう、せんぱ…っ」
「激しくするね」

激しい、なんてよくわかんないけど。
大きく出し入れしていた指を、次は小刻みな動きに変えて中を擦る。
奈美の腰もそれに合わせて小刻みに震えて、だんだんその動きも大きくなっているようだ。

「はぁ…っ」

息を小さく吸ったような、本当に小さなそんな声が聞こえて、一度空中で動きを止めた奈美の腰がすとんとベッドに落ちた。

「…いけたの?」
「………はい」

指を入れたままのあそこが、ひくつきながら私の指を締め付けるのを感じた。安堵の溜め息というのを一度吐いて、そうしたら私も色んなものが満たされたような感覚に陥って。…幸せだ、とか。思っちゃったり。
顔をあげるとぐったりした奈美が、左腕で両目を覆った。ふう、なんて、息を吐いたあと、奈美は恥ずかしげに口を開く。

「…なんというか、ですね…いつも、あんなに優しく弦を弾く、先輩の指が、…わ、私の中にって…意識した途端、たまらなくなって……あぁ、先輩」
「…なに?」

すっと奈美の腕が伸びてきて、頬を撫でられた。
真っ赤な顔で奈美は、

「大好きです、…あと、キスしてください」

同じように顔を赤くしただろう私。
私もだよ、なんてぶっきらぼうに言いながら、そっと唇を寄せた。












ぴろーとーく


「結局、先輩服着たままでしたね」
「見ても何も良いことないよ」
「私は見たかったんです」

「だから、今度は私が先輩にしますね」

…それだけは勘弁して頂きたい。ていうか大胆発言だねえ。

にこりと微笑んだ彼女と苦笑いを浮かべた私が居た。




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あきゅろす。
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