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青の祓魔師
勝呂竜士 鈍感野郎
「ちゃんと入れなぁ!!!」

「ちょ、ちょぉ!!??」

「早う、ちゃんと!真っ直ぐ…はい!やってみぃ!」


「何あれ。」

出雲が呆れたようにつぶやく。廉造は「声だけやと、も
のすっごいエロぉ聞こえるわぁ〜。」と少しニヤけて言
う。
その声からして、どうやら楽しんでいるようだ。

「んだーーーー!!振り方がちゃう!腰入れて振れの?!」

「なっ!!初めてやぞ?!これで、ええんちゃうか?!」

「はぁはぁ、出来ひんかったら逆ギレか!」

「はァ?!何やお前かて百発百中やないくせに!」

「っ?!人間、機械みたいには出来ひんの!そんなんもわ
からへんの??」

「?!そ、そないなこと言うて「坊!や、やめてくださ
い!」子猫丸っ!せやかてっ!!」


「もう、ほっといて行きましょ、な名前。」


私は廉造に腕をひかれ、微笑まれた。
私は「おん。あんなんほっとくに限るわ。」と言って、
廉造の手を握った。

廉造に手を引かれるまま少し歩いて、あまり人気のない
ところまで来た。
すると、廉造が立ち止まり、こっちに振り返って笑っ
た。

「なんで、名前は坊と会ったらケンカばっかな
ん?」

「わからへん…。」

「ホンマ昔のままやなぁ〜。」

「廉造、もうその話はええやろ?」

私は、昔…といっても小学生の頃、京都に住んでい
た。
そのときの私の家の近くに明陀宗僧正血統である志摩家
があって
学校も同じだったためよく家に通っていたのだ。
それも小学5年生〜中学1年生の間だけだったけど。
でも、みんな私のことを覚えてくれていたらしい。
京都にいるほかの明陀の方も覚えてくれている。
(特に、子ども好きの柔造さんは。)

そのときから私はずっと竜士と会う度にケンカしてい
た。

…実はケンカしているときから今も竜士のことが好き
なんだけど…。

「ずっと好きやっちゅうのにケンカ、ケンカって…
なぁ〜。」

廉造はそんな私の恋を応援してくれている。一応、子猫
丸も。

「どう話して良いかわからへんもん…。」

そう言って私はゆっくりと傍にある壁にもたれそのまま
地べたに座った。すると

「いけるて。名前、女らしゅうなってるさい。」

と廉造が私の隣にしゃがんで耳元で言った。
私は思わず、

「っちょ!!??れっ、廉造っ!!!!」

といつのまにかピンクになっていた頭をたたいた。
恥ずかしくて片手で熱い顔を隠した。廉造はニヘラと
笑って「いったぁ〜。」と私がたたいたところをなでで
いる。
…痛くなさそうなんですけど…。

「いやいや、ホンマやで?可愛らしゅうて、女らしゅう
て。」

さっきまでピンク頭をなでていた手が私の頭をなでた。

それが妙に恥ずかしくて「ちょっ!」と廉造をにらむ。

が、廉造は容赦なく頭をなで続ける。

「そないな目で見んといてぇなぁ〜余計可愛ええで?」

「…廉造…。」

私は呆れた声で言った。すると、廉造は「堪忍なぁ。」
と言って私の頭から手を離した。顔はニヘラと笑ったま
まだったけど。

「でもなぁ…名前バドミントン教えるだけであな
いにケンカするんはやめてな??」

「なっ!!そんなん、私かてケンカしたぁてしてるんとは
ちゃうんえ?」

項垂れたように言った私を見て廉造は立ち上がった。
私は壁にもたれかかっている廉造を見上げた。
すると、廉造がこっちを見下げた。

「…空回りっちゅうことやなぁ。」

そうつぶやくと軽く笑ったように見えた。
そんな廉造の表情は「楽しんでいる」のと「真剣」なの
が混じっているように見えた。


−教室−

「どこ行ってたん、廉造と2人で。」

「へ?ろ、廊下で話してただけやで?」

「…何、話してたん?」

「え??…他愛もない話や。」

「……ふーん。」

いきなり、竜士に話しかけられたかと思うとこんなこと
になった。
…いや…あの、竜士の顔!怖いよ??そんな顔で質問攻め
でその内容がさっきのことって…怖いですよ??
私が軽くみんなに視線を向けるとみんな青白い顔をして
いた。
ただ出雲をのぞいて。
出雲は呆れたように頬杖をついているだけだ。

「……もうええわ。」

竜士は俯いてそうつぶやいた。「え?」と聞いてもなに
も返ってこなかった。
そして、そのまま自分の席へ帰って行った。

…無、視?嫌われたん?嘘吐いたから?私がこんな女やか
ら?

ずっと一方通行なん?

そんなことを考えていると、ここにいるのが惨めに思え
て私は勢いにまかせて教室を飛び出した。
…頬を伝うものを気にする余裕なんてなかった。
後ろで、誰かが「名前っ?!」と読んだのが聞こえ
た。
でも、振り返ることなんて出来なかった。
こんな状態で、振り向くと私の泣き顔をさらすのと等し
かった。

廊下を走り、階段を駆け上がった。
途中で、何人か私を見て振り返った。
それも気にせずそのまま走るスピードを落とすことはな
かった。
屋上に着いた。さすがに屋上に着くころには本令の直前
で誰もいなかった。
フェンスまで走ると、心地よい風が前髪を舞い上がらせ
た。いくら走っただろう。
フェンスを背もたれに、地面に座った。
熱い。走ったせいだろうか。
息が異常なくらい上がっていた。なんか…しんどい。

「…竜士…。」

こんなこときでも、浮かぶのはこの名前だけだった。
名前をつぶやくと、目の奥が痛くなって、許容範囲を超
えた涙があふれた。
まだ息があがったままの自分の体に異変を感じた。途端
にフェンスから滑り落ちていく自分の体。
ほぼ、地面に寝転がっている姿になった。
…はぁ…しんどい…。私はまぶたを閉じた。


「っ!?名前っ!!名前?!」


誰…?いきなり上半身が浮いたと思うと背中をひざ(?)
の上に置かれた。
ゆっくりと重たいまぶたを開く。

「な…んで?」

私がつぶやくとふんわりと熱を帯びた体が包み込まれ
た。

「心配させよって、阿呆。」

「…竜、士??」

そう、私を包み込んでいる大きな体は竜士だ。
軽く息が上がっている。走ってきた…とか?

「お前、熱あるやろ。」

竜士はそう言うと私と竜士の体を引きはがす。
そのとき見た竜士の顔は本当に辛そうで驚いた。

「っ!ひぁ!」

急に私のおでこと竜士のおでこがくっつく。
その瞬間「あっつ!!」と竜士が驚きの声をあげる。
私の体はほぼ竜士の膝と腕で状態を保っているから、竜
士が大きく動くと私の体も動く。
今ので、頭がだいぶグラグラしてきた…。

「っ名前っ?!」

私は竜士の厚い胸板に頭を置いた。
竜士の心臓が飛び上がったのがわかる。驚いている竜士
をよそに私は目を閉じた。




「お、いけるか?」

不意に目を開けると、知らない天井と聞き覚えのある
声。

「…竜士…ど、こ??」

「保健室や。…あのままお前寝てしもたからな。」

「あ…ごめん。」

「謝らんでええよ。」

竜士はそう言うと私のおでこをなでる。
その手つきは優しくて、ソフトモヒカンの男がなせる技
とは思えないほどだった。

「え…?私、ホンマにあのまま寝たん…やね?」

「ん?……おん。」

私が聞くと竜士はぷいっと顔を背けた。
その顔…いやその耳まで真っ赤にして…。
私、なんかした?
(いや…したのは、したけど……。)

「何かした??私…。」

「え。い、いや…ええて…。」

「…え?」

なんとなくかみ合ってない会話に少しもやっとした。
するとカーテンの向こう側にいた、保健の先生が

「うわごと、ってすごいよね。勝呂君?」

と竜士に向かって言う。
そして、私の方に向かって
「名字さんも、ほどほどにね。…危ないよ??」
と軽く微笑んだ。
私…うわごとで何か言った!!

「何て言うてたん?」

「え?!い、いやなんも言うとらん。」

明らかに動揺した竜士…怪しすぎる…。

「何、言うたん??教えてぇな!!」

「…何も覚えとらんの??」

「おん。」

「……イヤや。」

竜士はそう言うと私に背を向けた。
教えてくれない竜士にモヤモヤを感じて私は上体を起こ
して竜士の制服を軽く引っ張る。

「何?言うてくれたってええやろ。」

「っ嫌や。」

「む…。なぜゆえ…。」

私が言うと竜士はこっちを見た。
そして、私の目を片手で隠した。(押さえた、に近いけ
ど。)

「んな、目ぇで見るな。」

竜士がどんな顔かは見えない。
手から伝わるぬくもりは熱いぐらいだった。
それがなんとなく恥ずかしくて

「何なんよっ?!」

と言って竜士の手を取ろうとした。
それでも竜士の手はとれなくて…

「あーー!もう、言う!!言うさかい、そないなことせぇ
へんといて。」

「え??させてるんは竜士やろ?」

私が言うとすんなり目を隠すのをやめてくれた。
その瞬間みえたのは竜士の真っ赤な顔だった。
それはまるで熟れたリンゴのようだった。

「堪忍な。」

「…んで?何言うてたん??」

竜士が息をのんだ。


「…ずーっと俺んこと…好き、や…って。」


途中から、私も竜士も恥ずかしくなって俯いた。
床を見ている竜士のソフトモヒカンほキョロキョロと動
いていた。

「……。」

私が黙っていると

「言え、言うたくせに。…せやから言わん方がええ思
たのに。」

「…え、じゃぁ言うてくれてありがとう。」

「…で、志摩には、ホンマの気持ち言わへんのか?」

「え??何が?」

「せやから…俺やのうて志摩に好きやって言わんでえ
えんか??」

「…ぷ。」

私は竜士の勘違いに笑いを堪えきれなくなった。
私が腹を抱えて笑っていると竜士は「なんで笑うや!」
と騒いだ。
いまだに私の気持ちに気づいてないこの鈍感野郎に


「私が好きなんは竜士やで。」


と真っ直ぐに見つめて言ってやった。
すると、竜士は、案の定顔を真っ赤にさせて言った。

「うそ…やろ…。」



廉造「嘘ちゃうわ。あんなにアピールしてんのに気づかへんとか..ホンッッマ鈍感。まぁ...名前も名前やな。」

子猫丸「坊も春ですねぇ。」


名前さんへ!
ここまで読んでくださって…本当にありがとうございま
す!第1作目から京都訛りに苦戦…
最終的には坊を真っ赤にさせるくだりが好きですね!!

これから亀ペースで更新すると思いますがよろしくお願
いします。


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