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NOVEL-銀魂-
悪友以上恋人未満(沖神)
総悟は珍しく巡回の仕事をこなしていた。高い気温と熱を逃がさない隊服にうんざりしながらぷらぷらと歩く姿は決して真面目とは言い難いが、サボらずにいるだけ総悟にしてみれば自分を讃えたい程真面目に働いている。
たまに清々しい風は吹くにしろ、降り注ぐ太陽の熱に、そろそろ休憩してもいいんじゃないかと思い始めたとき。川の土手の草原に座り込む見慣れた紫色の傘が目に入った。
なんとなく気配を消してそのお団子頭と白い犬の方へ足を向け、少し距離を置いて腰をおろした。
その小さな音に少女の隣りに寝そべっていた大きな白い犬が気付き、ワンとひとつ鳴いた。
「げ!サド野郎いつの間に!私の背後をとるなんて良い度胸アル」
「何してるんでィ」
定春の視線を追って振り返った神楽は総悟をみとめると眉間にシワをよせる。それを受け流して尋ねると、手に持ってるものを見せてくれた。川原に咲く花たちで編んだらしい花輪だ。
「銀ちゃんと新八におみやげつくってるネ。綺麗な花だからきっと銀ちゃんも新八も喜んでくれるアル」
ね、定春!と楽しそうな笑顔をみせた。
「へ〜」
いつも暴れまわる少女の女の子らしい一面に少し感心した。
そういう部分があることも知っていたが、総悟はめったに拝むことができない魅力である。
夢中で花を編んでいる神楽の横顔を見て、総悟も足元に咲く花をつみあげてみた。1人だったら何の興味をもつこともなかっただろう、どこにでもある野の花だ。
(なんで女はこんなものに夢中になれんだろうなァ)
くるくると花を回してみる。確かに綺麗だとは思うが、総悟にはそれだけだ。女はよくわからない。
ふと少女の横顔を眺めた。
(髪にさしてやったら...)
「はっ、」
らしくなさすぎて自分を鼻で笑い、手の内の花をピッと飛ばした。
「あー何してるアルか!」
「あ?」
それを見咎めた神楽がその花をとりあげる。
「そんなことしたら可哀想ネ。ちょっと貸すアル」
作りかけの花輪に総悟が投げた花を加えて編み上げる
「できたアル〜!」
できた花輪を自分の赤い髪の上にのせた。
「似合うアルか?定春?」
「ワン!」
「次は定春の作ってあげるネ」
「ワンワン」
花のように笑う少女の頭上で優しく揺れる野花。
悪くねぇな、そう思った自分を隠すように、アイマスクを取りだし寝転んだ。



fin.




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あとがき
季節も時間もキャラも掴めないまま書くとこういうことになる←
沖神は恋人どころか恋に気づいてるかどうかの雰囲気が好き

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あきゅろす。
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