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NOVEL-銀魂-
ふざけて言ってるんじゃないよ(銀新)
「新八、好きだー」
台所で洗い物をしていると銀さんが顔を出してきて、「おはよう」や「いってきます」とでも言うようにそう言葉を投げてくる。
このごろ銀さんは何の気の迷いを起こしたのか、こんな笑えない冗談をよく口にするようになった。
「もう煩い!」
結野アナが可愛いとか言う同じ口で、何の躊躇いもなく言うその台詞があまりに軽く感じられて仕方がない
いくらなんでもからかうこともいい加減にしてほしい。
「ヒドーイ新ちゃん。俺の愛の告白を」
軽いんだよ。そーゆーことをポンポンと言うもんじゃないだろ。
退屈しのぎに冗談か新たな嫌がらせかと思ってたのに、こんな調子でもう2週間になる。最初は受け流せてたものが日に日に苛立ちにかわっていく。まともに恋愛したこともない僕をからかってるんだ。それも2週間も。なんで急にいま始まったのかわからないけど、陰湿にも程がある。
「スーパーに行ってきます」
溜め息を堪えてそれだけ言って玄関に向かうと、ぺたぺたと裸足の足音がぴったり後ろからついてくる。
振り替えると当然のように銀さんが立っていて「ん?どうした?」なんて聞いてくる
「どうした、はこっちですよ。なんでついてくるんですか」
「原チャだしてやろーかなぁと思って。買い物デート」
「今日はそんなに買う予定ないんでけっこうです!」
しれっと言われた単語にイライラが増して鼻先でピシャッと戸を閉めてやった。それなのに何事もなかったようにその戸は開いて、悔しいけどその歩幅の違いですぐに追い付かれてしまう。
「なーなー何そんなに怒ってんだよ。あ、ガソリン代か。また値上がりしたもんなぁ。たまったもんじゃねぇよ。わかった、歩いてけばいいだろ?新八に抱き付いてもらえないのは残念だが、お散歩デートもオツだよな」
どうして何でもない顔で好きだとかデートとか恥ずかしげもなく言えるんだろうか。僕には全く理解できない。銀さんが男で子どもの僕相手に本気でこんなこと言う訳がない。
銀さんの言葉なんて信じられるか。絶対慣れてない僕をからかってるだけなんだ。
「ついてこないでください。僕1人でスーパー行くんで。パチンコも甘味屋も寄ってくんじゃねーぞ、糖尿天パ!」
吐き捨てるようにそれだけ言うと銀さんをおいて走り出した。今は銀さんの側にいたくなかった。
道を飛び出したところで、パァーンと耳を裂くようなクラクションが襲ってきた。反射的にそっちを向けばトラックが視界いっぱいに入ってきた。
「新八!!」
クラクションやブレーキの音よりも銀さんの声が直接耳に届いた。次の瞬間には銀さんの腕のなかに収まっていた。
「あっ、ぶねーだろ。だからお前は新八なんだよ」
トラックの運転手が何か怒鳴り声をあげて去ったあと、いつものようにどこか緊張感の抜けた声で人をバカにしたことを言ってきた。それでも、
「...銀さん、手が...」
「んだよ」
あまり変化の読み取れぬ表情とは裏腹に、抱き止めるその指先が微かに震えていた。
そして逞しいその腕は絶対に手離さないというようにがっちりと抱き締めていて。
「いえ、何でもないです」
口よりも雄弁に僕への想いを物語ってた。一気に顔に熱があがっていくのが自分でもわかった。絶対にいまは銀さんの顔を見れない。
「怪我ないか?ほら、いくぞ」
俯いて何も言わなくなった僕の手を引っ張って歩き出す。
それにただ引きずられるようについていく僕は、いまやっと、銀さんの本当の気持ちが伝わってきた気がした。



fin.



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あとがき
ずるい大人が書きたかったんだけど、なんかどっかで間違った?
まぁこれもありかと思って。銀新好き過ぎていろいろ迷子

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あきゅろす。
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