NOVEL -ONE PIECE-
rainy gloom
グランドラインの空は変わりやすく、朝は気持ちの良い天気だったが、お昼過ぎから急に雲りだして雨が降り始める
外に出ることが出来ず、各々メリー号の中で静かに過ごしていた
サンジは昼食の片付けを終えたテーブルに座り、1人ぼんやりと薄暗い外の景色を眺めていた
雨の音だけが響くラウンジに、バタバタとウソップが入って来る
「サンジー!って、何してんだ?」
「ぉーウソップ。どーした」
「こっちが先に聞いたんだろうがっ!てか珍しいじゃねーか。サンジがぼーっとしてるなんて」
「あー…」
「あーってなぁ…。サンジ、本当に大丈夫か?」
サンジはウソップが入ってきた時に一度こちらを見ただけで、ずっと外を見つめたままだ
外に何かあるのか?とウソップも隣りに立ち同じ方向を向いてみるが、雨が降っているだけでいつもと変わらない
「…昔さ、無人島に流されたって話、したことあるだろ?」
「ぉ…おぅ」
ふいにサンジがぽつりと話始めた
「その時さ…、なかなか雨降らなくてさ」
食べ物も飲み物もない無人島
船はいっこうに通らなくて
絶望的な気分に追い討ちをかけるような、残酷なほど照りつける太陽
「降ったら降ったで冷たいわ寒いわ」
と静かに笑った
あの時、痛感させられた
この大自然に対して自分がどれだけ小さな存在なのか…
サンジは昔を懐かしむような、それでいて少し寂しげで凄く遠い所を見ているような眼をしていた
その横顔を黙って見ていたウソップは、いきなり外に飛び出した
「雨だーーっ!!ひゃっほぅ♪」
「ぉ、おぃウソップ!?」
「ほら、お前も来いよサンジ!」
ウソップは明るく笑ってサンジの腕を引いた
「せっかくの雨だ!楽しもうぜ」
「濡れるって。意味わかんねぇし」
「いいからいいから!
雨だーっ!ほら、サンジも」
「雨だー…?」
「もっと腹の底から!
雨だーーっ!!」
「…っ雨だーーー!!」
「そうそう♪はははっ」
2人は雨の降る甲板ではしゃぎ、叫び、笑った
「何だ、なんだぁ?」
「ししし、楽しそうだな〜♪」
その声につられてチョッパーとルフィも出てきて、一緒に雨の中を踊り回った
4人で歌ったり走り回ったりして思いきりはしゃぐ
感じる雨は、不思議と優しくて暖かかった
一緒に笑いながらサンジは
沈んだ気持ちを楽しい笑いに変えてしまう
(ウソップのこういう所が好きなんだろうな…)
と雨の向こうで輝く笑顔を見つめた
fin.
*あとがき*
雨続きで憂鬱になったので、こんな話を書いてみました(^□^;)
サンジのあの頃の気持ちも書いてみたかったし
改めてウソップの魅力に触れて、好きだって気持ちを再確認するサンジ
ウソップも自分にだけ弱い部分を見せてもらえて嬉しかったと思います!
サンウソはこうやって支え合ってるんではないかなーと思いますねv
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