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NOVEL -ONE PIECE-
いつもとなりに
*「pure principle」の朝矢さまへ相互記念小説*



新しい島の海域に入り、海はずっと穏やかだ


ナミが午後には島に着くと予告してから、ルフィは朝からずっとメリーの上で島を探していた


気候が安定しているのでウソップは甲板で工場を開き、島に着く前に持っている材料分は星を作ってしまおうと忙しくしていた


その周りでそわそわと革靴がたてる音のせいで、同じく甲板で昼寝をしていたゾロとチョッパーは気になって眠れない


「サンジは何してんだ?」

「クソコックの考えてることなんて理解できねェよ」


なにより足音がうるさいと眉間にシワをよせる


そのちょうどど真ん中に座っているウソップなのだが、完成間近の星作りに集中しているためそんな周囲の様子には気付いていないようだ


その星が完成し、「よし!」とウソップが言ったのと全く同じタイミングで、それまでコツコツうるさかった足音がピタッと止まった


満足げに星を見るウソップの隣りに、ドカッとサンジがヤンキー座りをする
とにかく柄が悪い


「な、何サンジ、怖いんですけど」

「なぁ、なんで最近ダイニングで工場開かねぇんだよ。避けてるワケじゃねェんだろ」


そう、少し前まではこんな晴れた波が穏やかな日でも、サンジがキッチンにいればウソップも一緒にこもっていた


それが最近は特に喧嘩をしている訳ではないが、なるべく外で開いたり雨の日は男部屋にこもったり


「そ、そんなことねぇよ!そーいうサンジだって、最近、工場開いてるとき話し掛けてこないじゃねェか」

「そりゃ〜、お、お前がダイニングで工場開かねぇからだろ」

「前から木屑でるときとか薬品使うときとかは外でやってただろー。そん時はよく来てたじゃねぇか…」

「なんだ、ウソップ。俺が来なくて寂しかったのか?」

「はぁ!?ばっ、ちげぇーよ!それはサンジだろ!俺がダイニングで工場やんないから寂しいんだろ」

「あぁ!?言うじゃねーかウソップ」


すっかり眠れる状況ではなくなったゾロとチョッパーが、2人を眺めていた


「…ナミ。あいつらさっきから何やってんだ?」


ちょうどカモメ新聞を取りに来たナミに、ゾロが聞く


「ん?あぁ、恋人同士いつも一緒にいたいってやつでしょ」

「でも一緒にいないって怒ってるみたいだゾ?」


そのぶん遊んでもらえるけど、とチョッパーは言う


「そこがまぁ、複雑なんでしょ」

「ずっと一緒にいたいって思う恋から、相手を尊重する愛に変わった…ってところかしら?ふふ、可愛いわね」

「あらロビン」

「コックさんにコーヒーをお願いしたかったんだけど…。今はお邪魔になるわね」


そう言って微笑みながら、甲板の真ん中で
「お前は愛しい恋人と一緒にいたくないのかっ」
「だからサンジが来れば良いだろ!」
と言い合っている2人を見つめる


「ウソップもサンジも好きなのに一緒にいないのか?」

「好きだからこそ、一緒にいないのよ」

「それでもやっぱり一緒にいたいと思うから、あの状況ね」

「なんだそれ、面倒くせぇやつらだな」


全く理解できないゾロとチョッパーに女性たちが複雑な恋心を伝授してやる


「あの2人が揃ってて黙ってるところなんて想像できる?一緒いたらつい話し掛けちゃって、結果。サンジくんの料理なりウソップの工場なり、相手の邪魔してることになるでしょ」

「でも一緒にいたい気持ちはある。だからお互いに相手が来てくれるのを待っているのよ」


普段わりと器用な2人も、気持ちを伝えるのは少し不器用なようだ


そのため、いつまでも遠回りな会話を繰り返しているわけで


相手を思って故の行動をしているにも関わらず、一向に確信に触れない


そんな会話を目の前でされていれば、もう周りは呆れるしかない




「島だぁーー!島が見えたぞぉーーっ!!」


ルフィの声に全員が顔を上げる


「どんな島だぁ??」

「海軍はいねぇよな」

「上陸の準備だぁ!」

「ワクワクするなぁ♪」

「ちょっとルフィ、面倒起こさないでよ」


各々が上陸の為に動き出す


「あ、サンジくんとウソップは船番ね!」

「ハーイ!ナミさんっvV」

「はぁ?なんでだよっ」


ナミさんに逆らうのか、とウソップに蹴りをいれているが、それがだいぶ加減されていることは誰もが気付いている


「なにすんだー」「お前がそんなんだからだー」とギャーギャー言っているサンジとウソップ


なるほど、あれはじゃれあっているだけなのか。とゾロとチョッパーは納得した


その2人に腕を組んだナミが


「あんたたち、さっきの不毛な問題は解決したの?」


と妙に冷めた口調で聞く


その声に2人はピタリと動きを止めた


もちろんまだ解決などしていないし、そして何よりナミの眼が怖い


「もうさっきみたいな、くだらない喧嘩もどきをしないように!みんなが戻るまでじっくり話し合いなさい。ってことで船番、よろしく〜♪ロビン行きましょう」


港に着いて真っ先に飛んでいったルフィの姿はもうなく、錨を下ろしたゾロもチョッパーを頭に乗せて船を降りた


それらを見送って残ったのは、微妙に気まずい雰囲気の2人


「…ウソップ」

「……なに」

「工場、これからもダイニングで開けよ」

「でも、・・料理する時、邪魔になる」

「ウソップがいない方が集中しねェ」

「…ぅん」

「これは俺の我が儘だがな」

「ううん。
 俺も、サンジがいないと落ち着かない」




新しい島はかなり活気のある島のようで、船の上からも遠くからの賑やかな声が聞こえてくる


そんな船の上では、珍しく静かな2人が手を繋いで、島を見ていた



fin.




*あとがき*

このあと2人仲良く、工場の引っ越しとかするんじゃないですかね(*´д`*)

朝矢さまからの「周りが砂を吐くくらいバカップルなサンウソ」というリクエストを頂いてのこの作品なのですが…どうですか?(汗)

喧嘩してるようでいて、ただお互いに構って欲しいだけの2人、…のつもりです

朝矢さま、お粗末なものですみませんがこれが私の全力です!!(笑)

これから宜しくお願いします☆

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