その他 獲得消失世界(ニル刹) 湿っぽい空気が流れている。 啜り泣く音が聞こえる。 無論、自分もその中に入っているのだけれども、それよりも再度犯してしまった事態に頭の中は茫然としている。 …私は今まで何をやってきたのかしら…。 戦術予報士なんて、そんな肩書、私には烏滸がましかったのよ。 戦争で助かる命を少しでも多くと思ってなったのに、たった一人の仲間を守ることすらできなかった私に、世界を相手取ることなど許される筈なかったのだわ…! そんな大切なことに、今更気付くなんて! 「…ごめんなさい。」 誰に向けるでもなく呟いた謝罪の言葉は、それでも無意識の内に彼の人と、その愛された少年へと向けられたものだったのか。 それとも、理想の世界を創るコマとして自分が選ばれ、それを受け入れていたことに対してだったのか。 憔悴しきった頭では、考える余裕もなかった。 私が望んだのは、 こんな世界じゃ なかった。 (愛する人をうしなった世界で、人は幸せを手にすることなどできない) *やっとあげれた! すめらぎさん! 抽象的… それでもニル刹といいはってみる ソラに舞う涙たちは、何もうつしてはくれなかった。 [*前へ][次へ#] |