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その他
Corrude(ニル刹,ライル視点)





ミッション終了後、ブリーフィングルームに、と招集がかけられていた。
部屋には既にティエリア以外のメンバーが揃っており、ドアを潜れば、一様に「お疲れさま」と労いの言葉をかけられる。
適当に相槌を打ちながら、残る一人を待つべく、空いている場所へと腰を落ち着ける。




4年前に解散したはずのソレスタルビーイング。
しかし統一政府の無慈悲なやり方に制裁を加えるべく、再び集結した。
そのマイスターとして自分は選ばれた。
4年前の戦闘でなくなった、ニール・ディランディ───俺の双子の兄───の代わりに。


今でも時折、クルー達は俺に兄さんの姿を重ねて見る。
哀しそうな、それでいて何かを焦がれているような視線は、向けられて気持ちの良いものではない。
俺と兄さんは昔から重ねて見られることが多かった。
それでいて、兄さんと俺を対比させる。
良くできるのは兄さんの方。
何をしても俺は兄さんには適いっこなかった。
劣等感から家まで出たのに、俺はまた、兄さんが築いた場所へ立ち、天秤にかけられている。
どうすれば俺を兄さんの影から切り離せるだろうか。





思考の淵へ沈みかけていた意識を、ドアの開閉音が現実に引き戻した。
あ、とアレルヤが呟く。
見ると、ティエリアがバイオレットの切り揃えられた髪を揺らしながら入ってきた。

「おかえり」

アレルヤの一声を皮切りに、クルーが次々に声をかける。
それに、「ああ」と軽く返事を返すティエリアは、トンッと地面に降り立った。
その音に、青年──刹那は顔を上げる。



「ただいま、刹那」
 

目元を緩め、微笑みを浮かべるティエリアは、本当に男かと問いたくなるほど、誰が見ても綺麗だと思う。
そして、目を伏せ、恥じらいつつも嬉しそうに返した刹那の言葉に、俺は自分の耳を疑った。


「おかえり、ニール」





…今、彼は何と言った?
…ニール?
あれはティエリアだろう?
あれは兄さんじゃない。
それなのに何故ティエリアは刹那に抱きしめられたまま、それを甘受している?
おかしいだろう?ソレは。
どうして誰も何も言わない?


見回す自分の目に映ったのは、何かに堪えるように口元を結び、俯くクルー達。
まるで、この行為は仕方がないとでもいうかのような─────


狂ってる───
ティエリアに兄さんをみて、充足を得ている刹那。
ソレを止めようとしないなんて。


だったら俺が、ソレを止めなければ。
そう思っているのに、自分の足は、腕は、声は。
彼らに同調するかのように、手立てがないとでもいうかのように、凍り付いたかのように動かない。
兄さんと同じ姿形をした俺に、それでもできることなんてないと、幻をみている青年が、顔を埋める肩口から咲笑っていたから。





じわじわと広がる侵蝕
(だって、私が手を伸ばしても、彼には届かないもの)










*あとがき*
つまりせっちゃんはティエリアをニールだと思って接してしまうほど、精神異状なんですよ。
ニールが恋しすぎて。
それでもティエリアはニールの事態は自分のせいだと負い目を感じてせっちゃんの行為を受け入れて、周りもそうしないとせっちゃんが壊れそうだと思って。
それを部外者だったライルが初めてみちゃった、みたいなのをかきたかったんです。

補足しないと伝わりそうにない自分の文才のなさに絶望\(^O^)/

最後の一文はフェルトあたりかな。

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あきゅろす。
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