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優しい時間


「…何だこれ」
「だから言ったでしょ?笑えるって」

先に終わってコンビニで待っていた三宅に連れられ訪れたアパートは狭いながらも物は充実していて二人で過ごす分には充分だった。
手早くセットされた映画はホラーの癖に漫才入ってるし、お化け屋敷のアトラクションみたいな分かり易い仕掛けに怖がる役者がてんやわんやしている。

「まあ、確かに飯食えるわ」

半ば呆れ気味で。なんとなく笑えてくる話だから男二人で作る大雑把な鍋も、食欲が失せる事なく食べれた。

「明後日楽しみですね」
「決定事項かよ」
「行きましょうね」
「はいはい。まあ確かに面白いしな」

B級ってレベルじゃない感じが。

「沢木さんとデートとか嬉しいな」
「…っに言ってんだか」
「俺、沢木さんのですからね。連れて歩いてもらえるの楽しみにしてます」

自分で言った言葉を本人に返されるとどうしてこうむず痒いのか。

「分かったよ」

首の後ろに手を回して引き寄せると肩に頭を乗せる形で凭れ掛かって来る。
人肌が恋しかっただけだ、と自分に言い聞かせて体温を感じていた。



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あきゅろす。
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