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受け入れる覚悟


「沢木さん、緊張してます?」


駅への道を辿る間。
押し黙っていた三宅が口を開いた。

「別に」

そう言いながらも変に距離を取ってしまうのを見咎めて腕を掴まれる。

「公園、寄って行きましょう。このまま別れたら駄目な気がします」
「…ああ」

昼間は子供連れが賑わうこの辺では大きめな公園だ。夜も犬の散歩や体力作りで走っている人を見掛ける。


「沢木さんが俺の事嫌いじゃないのは知ってるんです。悩んでくれてる事も」

ベンチに腰掛けると沢木はそう切り出した。
何を言われるか内心怯えていたのを知っていたかのように先回りされている。

「少なくとも受け入れてくれている。それがどんな感情でも」

自分と大差ない男の手が重ねられる。体温の低いそれは決して触り心地が良い訳じゃない。
それでも三宅のものだと思うと特別な何かに感じる。

「…俺は幸せです。好きな人がキスを許してくれる」

「三宅」

「でも、沢木さん。この前事務の井藤さんに告白されたそうですね」

声は平坦なのに俯く表情からは悔しさや悲しみが滲み出ていた。



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