それは変化 夏の緩い風がカーテンを揺らす。 仕事が終わって帰り支度をしていた更衣室には男性が二人。 「沢木さん」 空気は張り詰めていた。 ひやりとしたロッカーに打ち付けた腕がジンジンと痛み出す。 「止めろよ」 重ねられた唇からは熱い吐息。 顔を背けてもしつこく食い下がってシャツの下に手を伸ばされる。 自分を好きだと想っているのは知っていた。でも応える訳でもなく、反応を楽しんでいただけだ。 少し指が触れただけで狼狽えて。自分からは話し掛けて来ないのに、俺が構えば途端に嬉しそうな顔をする。 「なんで最近、俺を避けるんですか。キスまでならしていいって言ったのは貴方なのに…」 そして告白された。 慎ましく大人しい筈の男は瞳に熱を湛えて。半ば押し負ける形でキスを許してしまった俺はそう確かに言った。 「気が変わったんだよ。もうすんな」 汗を掻いてるのに気にせず素肌を撫でる手を払う。 「舌入れたの嫌でした?勃ってたから良かったのかと思ったんですけど」 「!…少し黙っとけ」 太股で股間を擦られながらキスすればそうなる。悔しいがテクニックでは勝てなかった。 意地になって舌を絡ませたが翻弄されただけだった。 [次へ] [戻る] |