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愛暴の勧め
05


風紀が占拠している社会準備室に着くと、椅子に座って腕を組んでる姫路と血を出して包帯を巻いてる男が数人、風紀委員と顧問が話し合っていた。

「姫路」

呼ぶと冷めた表情で此方を見る。
どうやら怪我はないらしい。相変わらず馬鹿みたいな強さだ。

「すいませんこいつが。許してやって下さい」

ばっと頭を下げて怪我した人に謝る。

「すいません!俺がカッとなって物を投げなければ上島に当たらなかったし、その…姫路君が怒る事もなかったんです。本当にすいませんでした…!」

勢いよく腰を曲げたせいか若干もさっとした髪がズレたのが気になるが、突っ込めない。
恐慌状態の中声を上げたのは顧問だった。

「まあ良いでしょう。彼らは姫路君のファンらしいですしね。それと槙。あれほど物を投げるのは止めなさいと言っただろう?ほら、顔を上げて」

「…兄貴」

「全く。生徒会に任せた私も悪かったのですが。書記にほしいと言われてしまいましたよ、槙はやりたいですか?」

長い髪を後ろで束ねて白衣を着た三嶌先生はまた違う所で人気がある。
大人の色気にやられるのか隠れて支持されているが、確かノーマルだった筈だ。
いやでも弟の口からホモ発言されていたんだが。

ナチュラルにもさもさ頭を直すテクニックに関心しながら話の成り行きを見守る。

「俺は別にどっちでも。変わってるけど皆良い人達だし」

「そうですか。なら風紀に入れば良いですよ。私と良く会えます」

「別に会おうと思えばいつでも会えるだろ?あんま、触んなよ」

二人の掛け合いを見ながら視線を姫路に向ける。先程まで座っていた場所にはもう居ない。



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