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愛暴の勧め
01



世間は陽気な音楽と色取り取りな明かりに彩られている季節。
上島が通う学園でもまた同じように楽しげな雰囲気に包まれていた。




「よっと。そろそろか」

あいつら何だか準備してたもんな。扉の外からクスクス笑う声が聞こえている。
時計を見上げると午後7時を指していてバーンと扉が開いた。

「メリークリスマース!」

赤い帽子に赤い服。白い大きな袋を持った青海はパパーン!とクラッカーを鳴らしながら入場して来る。

「よ。めりくり」
「よっじゃないよーテンション低いぞ上ちゃん!」
「青海、青海。ほら俺置いてっちゃ駄目だって」

トナカイ姿の光井は表情をキリッとさせてポーズを取っていて、取り敢えず無言でカメラを向けるとノリノリで映ってくれた。
黙っていれば格好良く見えるかも知れない人友人二人はやっぱり馬鹿で楽しげな表情につられて笑う。

「もう…来たのかよ」
「起きたか。姫路、ほら飯だぞ飯」
「あぁ」

事前に呼んでおいた姫路は始まる前から既に俺のベッドで眠そうに横になっていて、さっきからうつらうつらとしていた。
引っ張って起き上がらせると目を擦った後の半目で友人二人を見ている。

「眼鏡と教師もいんのか」

後ろから控えめに付いて来た三嶌兄弟が料理を持っていてくれて、顔を合わせるとメリークリスマスと照れ臭そうに言ってくれた。

「こんばんは、上島君。姫路君」
「すいません先生。狭いですけど」
「いえ、呼んで下さって嬉しいんですよ。私まで学生に戻った気分ですね」
「そう言えばこんな風にクリスマスを祝うって事無かったよな」
「ええ。なかなか時間が取れず」

自然に三嶌を誘導して座らせている先生はいつもの白衣ではなく、私服を身に纏っているせいか随分と若く見える。
三嶌を見詰める柔らかい視線に感心していると、姫路に服を引っ張られてぽすっと腕の中に収まってしまう。

「寒い」
「暖房強くするか?」
「良い。その内暖まるだろ」

背中から抱きかかえられて肩に顔を埋める姫路をそのまま引っ張って机の前に連れて行けば、眩しそうに目を細めた。

「眠そうだね姫路っち」
「昨日ラスボスに勝つまで粘ってたからなこいつ」

難解シューティングのラスボスは本当に鬼畜だった。俺もちょっと参戦してみたけど見事に撃破されてすぐに心が折れたから、姫路がクリアするのを隣りで寝転がって見てただけだ。


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