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ドレミうた
さん


「やー慣れないから太股ガクガクなんだけど」
「びびりすぎなんだよ」
「だって車体倒すから転ぶ気がして」
「真っ直ぐでも走れるけど、ちょっと倒した方が走りやすいんだって」

ヘルメットを脱いで返すと、飯塚はけらけら笑って足を蹴って来る。痛いよ。

「それに後ろ掴んでるの怖かったし」
「男が男の腰掴んでたらおかしいだろ。俺の腰は彼女限定なの」
「あれ?今いんだっけ?」
「いるよ。お前も知ってるだろ、金沢志保」
「えー!志保様!?」
「おう、尻に敷かれてんだ」
「ドMなんだなお前」
「そう言うなよ」

中学時代に有名だった女王様は俺の知らない間にダチの彼女になっていたらしい。

「ってか何で?」
「そりゃあ、まあ。酒の勢いで?」
「きゃーサイテー」
「女か」
「大体酒飲む機会なんてあったのかよ」
「合コンでさぁ吃驚して声かけちゃったのよね」
「お、おお…」

そりゃ凄い縁だな。俺も専門行ってる時はその手の誘いもちらほらあったけど、実がいたし。
いや、いたしって何だ。

「あ。うどん食わね?」
「いいよ」
「ってかめっちゃフード充実してんじゃん。やるなぁ」
「何、もう気移り?」
「どうせ奢らせんならステーキとかでもいいな」
「がっつり行くな。あ、でも二千円までな」
「遠足のお菓子か」
「遠足なら500円までだろ?牛丼一択」
「やだ。あ、あれは?イタリアン」

飯塚の飽き性且つ目移りに付き合って色々回ってメニューを見て、結局決まったのは最初のうどん屋だった。

「まあ良心的だな。宜しい」

食券を買って列に並んで、これから何処見るか何となくプランを立てて。
そう言えばこのショッピングモールは実の高校の近くだって事を思い出す。



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あきゅろす。
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