ドレミうた さん 好きとかじゃ、ない筈。 「にぃちゃん」 布団に潜り込む、前に自分の上に乗って来た実を見て息を詰まらせる。 こら。何やってんだ。 「なぁに、乗ってんだ」 「ちゅ」 「ちゅーは無し」 顔との間に手を入れて防げば、柔らかい感触が指に触れてカッと頬に熱が溜まる。 でもそれを気付かれる訳にはいかない。ファイト、俺。 「しないと寝れない」 「じゃあ起きてろ」 自分の上から降ろそうと腰を掴んで持ち上げようとしたけど、ギシ…と両手を頭の横に置かれただけで余計に近くなって。 あ、と思った隙には唇を押し当てられていた。 「や、ちょっと」 咄嗟にずらしたけど唇の端には触れていて。 「にぃちゃん…させて」 空気の動く感覚にビクンッと背筋が震えた。皮膚が、擦れる。 柔らかい感触。 「み…っ…」 本能を引きずり出される。 実は無意識なんだろうけど、手を掴んで来るから身動きが取れない。 感触を味わうように何度も押し当てられて軽く食まれる。髪が頬に触れる感覚も妙な熱を生んで。 ぞわ…と鳥肌が立つ。 ヤバい。俺、このままじゃ。 「…の!」 力ずくで上から降ろすと顔を手で覆う。 落ち着け。何興奮してるんだ。相手は弟だろ。 「…、…ぁっ…」 「……」 恐る恐る伺って来る実と目が合って、その瞳が潤んでいるのを知って何も言えなくなる。 「……」 「にぃちゃん…」 実も心無しか動揺している。 「…おれのこと嫌になった?」 「…」 「ごめん」 「…なってないよ」 嫌いになんてなれない。 ぎゅーっとしがみついて来る実を片腕で抱きながら、欲求に素直な自分の身体に目眩がする俺でした。 [前へ] [戻る] |