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言葉に出来ない
06


少しずつ書き溜めているものがあった。
自分に関わった人達への手紙。
沢山の感謝の気持ちを何度も書き直しながら書いた。

特に彼に関しては手紙も感情が高ぶって上手く書けない。

隣りの部屋で眠っているであろう彼に何て声を掛ければ良いのか。







「起きてくれ。電話だ」

先程からけたたましくなっている着信音に仕方なく腰を上げたのはつい先程。
今もまだ起きる気配なく眠っている彼に呼びかける。

「電話出ないと」
「…るさい」

低血圧で寝起きの悪い彼は何度目かで漸(ようや)く起き上がると、不機嫌に電話に出た。

「はあ?今から?ふざけんなよ」

相手は多分仲間内なんだろう。口調の悪さから分かる。大体二週間に一回位は集まりがあるようだから今回もそう言った類なんだろう。

「馬鹿じゃねえの」

直ぐ様切ろうとする彼に、此方に聞こえる位大きな声で相手は叫んだ。

『可愛い子揃ってるから!』

「可愛い子?」
「合コンだってよ」

煙草に火を点け出す彼は通話終了ボタンを押して携帯をベッドに放り投げた。
不機嫌そうにカチカチとジッポを手で遊ばせて、パソコンを起動させる。

「まだこんな時間じゃねぇか」

デスクトップにはモノクロの写真が映し出されている。下の方に表示された時間は[19:23]。

「…お前も入ってくんなっつったろ」
「悪い」
「まあ良いわ。起きる」
「合コン、行くのか?」

部屋を出て行こうとする手を思わず掴むと目を細められる。




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あきゅろす。
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