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巻戻の僕

クラウドが神羅に入社して2週間が経とうとしていた。
周りの欝陶しい視線にも我慢強く耐え、何とか一人暮らしが落ち着いて来た頃。

今日も一日中の訓練で疲れ果てて帰って来たが、やむを得ず渋々食堂へと足を運ぶのが日課になりつつあった。

そこらの道端でも気味悪い視線に悩まされ、きっと食堂でも胃に殆ど詰め込めないままに終わるのだろうと思いながら、覚束ない足取りで食堂に向かう途中、足元を見て歩いていたクラウドは調度角を曲がるところで誰かにぶつかってしまった。

「ごめん、急いでて」
「……すみません」

相手は直ぐさま謝ると、クラウドの様子を伺った。
クラウドは軽く当たっただけにも関わらずやわに倒れる自分に嫌気がさしつつ、尻餅を着いたまま謝った。

「はい」
「ありがとう、ございます……」

何を考えたか極自然に当たり前というように手を差し出す人物を訝しみながらも、怖ず怖ずと手を握った。
クラウドは軽々と持ち上げられ眉間に皺を寄せ、また俯いた。

「ホントごめんな」

それだけ言うと、クラウドの頭をわしゃわしゃと撫でて擦れ違って行った。
余りの驚愕に思わず振り向くと、にっこりと人懐っこく笑った黒髪のソルジャーと目が合ってしまった。

「何、あれ」

だがクラウドはたいして気に留めることなく、目的地へと足を運んだ。

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