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joker
気になる子C


僕、不神来夢はほとんどコンビニでバイトをしているが実はファミレスでもバイトしている。

今日はファミレスでバイトだった。



「来夢」

「…あ、愛斗」


呼び掛けられ、振り向くと親友の姿がそこにはあった。
ファミレスになんか来なそうなのに珍しいなと思いながら僕は近づく。


「どうしたの昼食?」

「らいむのバイト姿見に…似合ってる」

「そうかな?」

「…もう話してるけどよ…時間大丈夫か?」

「大丈夫大丈夫!」


彼が来た時間は昼食前でまだ本格的ではないため比較的暇であった。


「そうか…良かった」

「…」


(なんでだめなんだろう…)

黒い服を来て、モデルみたいな体型の愛斗を上から下まで眺め、この前冬威が言った言葉を思い出した。
最終的には愛斗を驚かすためとか言われたが…誤魔化すために言われた気がする。


「らいむ?」

「ん、何」

「バイト楽しいか?」

「楽しい楽しい。」

「そうか…だったら俺も…やろうかな…なーんて…」

「…それ本当」

「えっ」


軽く笑ってなんとなく愛斗が呟いた言葉に僕も笑いかけようとすると後ろから声が聞こえた。
聞き覚えのある声に僕らが振り向くと濃い桃色の派手な髪…悠がいた。


「お前もここでバイトしてたのかよ…金はあるくせに」

「金は僕の稼いだ金じゃないし…使いにくいし…」

「あ、ゆーちゃん養子…だからね…」

「…悠お前…」

「お前もいたのかソウ」


悠の後ろからソウガが肩を震わせながら近付き肩をポンッと軽く叩いた。


「養子で…本当の子供じゃない自分だから金を使えない…だからバイトして…大丈夫だと思うぜ悠!両親は本当の子供のように見ている。甘えろ。金も使っていい…」

「いえ、主人の場合そんな重いもんじゃないです。ただここの制服着たかっただけです」

「…お前もいたか」

「綾ちゃん…」


またまた現われた顔見知りに愛斗は嫌そうな顔をした。
どうしてこうも顔見知りが多いのかは…


「ゆーちゃんがバイトしない〜?と誘ってきて集まったのでした」

「……つか、ソウお前…主人護衛してないし、許可も取ってないぞ」

「いいだろ。休日は何使おうと自由だ」

「……」

「つか言ったらお前あーそうかしか言わなかったぞ。聞いてなかったんだろ。」

「不神来夢さん以外の話は適当ですからねコイツ」

「先輩をコイツ呼ばわりするな」


愛斗は睨むが綾も負けず睨み付けまるで火花が散らされるような光景になった。
止めようかとしている時悠が愛斗の腕を掴んだ。


「悠…なんだ」

「昼食混むんだ〜愛斗先輩バイトしてみたい言っていたし…手伝ってよ」

「はっ?」

「一日だけ〜さぁさぁ」

「お前…おい…悠、離せ」

「ではでは」

「…」


引きずられる愛斗に苦笑いをし、僕は時計の針を見た。
同じくその場にいた彼らも見て持ち場に戻り、僕は今来た客に慌てて向かった。





「これお願いします」

「はい」

「14番テーブルの水よろしく」

「あ、わかって…ってお前もやれ」

「…」


ガンッと仕事をせず、愛斗に押しつけていた綾の頭におぼんを当てた。
あわただしく動く愛斗の姿に来夢は感動していた。

(いつもより楽だ…)

一人増えただけでこうも変わるのか。いや、愛斗がよく動くからか。
生徒会で鍛えられた能力をうまく活用しているのか。

(それにしても…)

愛斗さっきから女の子に注文頼まれたりお冷やくれるように言われてる気がする。
ちらちら視線がするし…

(かっこいいからかな…)

制服も似合ってるし…さすがだな愛斗…


「注文!プリンパフェ」

「あぁ、プリンパフェ…ってお前か」

「なんだ客にその態度は」

「冬威」


冬威のテーブルに近付く。愛斗は営業スマイルの欠けらもなく冷たく冬威を見下ろす。


「甘党だと思っただけだ」

「…つかプリンパフェって冬威…お金あるの?」

「あぁ…あるさ」

「え…どうやって…」

「お待たせしました…」

「!」


(あ…)

黒い長髪、大きな瞳の彼女が僕の隣を通り冬威の前の席へと座った。
なんで、冬威といるんだろう。知り合いじゃなかったはずだと見ていたら視線に気付いた撫子が口を開いた。


「たまたま出会ってプリンの話で気があい、ここのパフェがおいしいという噂になり来たのです」

「来たのですって…冬威が話があう…」


女の子…人間と話なんてあまりしないのに…珍しい。


「なんだ来夢」

「…別に。あ、じゃあプリンパフェふたつだね?愛斗」

「わかってるよ」

「…」

「以上のご注文で…」


愛斗が隣で確認するなかまた撫子さんをじっーと見つめる。
何回観ても可愛い。ほほえまれこちらも嬉しくなってしまう。


「……来夢」

「え?あ、愛斗何?」

「仕事…戻るぞ」

「あ、わかったよ…って愛斗引っ張らないでよ」


ぐいぐいと僕を引きずり連れていく。
今客が落ち着いたところなんだからそんなに急がなくたっていいと思うのに。


「…知り合いになったんだ」

「え?あ…うん」


注文内容を言った後僕に話し掛け、僕は答えた。
言い方が嬉しそうに言ってしまい自分で素直に表情に出るなと苦笑いをした。

(でも冬威と仲良くなるなんて…)

複雑…だな。二人ともプリン好きと共通点あるし…。


「…ふーん」

「愛斗…どうかした?」

「別に…ほら、プリンパフェ持っていけよ」

「あ、うん」


冬威と仲良くなって…なんか大丈夫かな…。

(大丈夫…だよね?)

複雑な想いのままプリンパフェを持っていき、撫子さんの笑顔により冬威と仲いい複雑な気持ちが薄れていった。

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あきゅろす。
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