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joker
登校


「行かない」

「えっ」

「誰が行くか。そんな人間だらけの場所」


(好き好んで行くわけあるかっ)

来夢に背を向け行かないと意志を見せるが彼はぶつぶつ言いだしている。


「行けば冬威だって人間の良さわかるかもしれないのに…何で…」

「わからなくてもいい…だから」

「…!もうこうなったら力強くだ!」

「?」

「十字架フラッーーシュ!!」


「んなっ?!」


来夢は十字架を取出し私に向ける。
勿論私は床に座り込みガタガタと来夢を見上げる。


「き、貴様…十字架二つ持っていたのか…」

「形見はなぜか二つあったんだよ…さぁ、冬威」

「…あっ」

「行く…よね?」


行かなければ十字架を私につけると無言の脅し。
おとなしそうで可愛い顔してなんて奴だ。
この私を脅すなんて…


「行くと今すぐ言わないと…滅しちゃうかもよ冬威」

「わ、分かったから行く!だから十字架を今すぐしまえ!」

「本当?」

「本当だ行くと行ったら行く!?」


十字架を当てられそうになり、震えながら答えると彼はにっこり笑いしまう。
ほっとするが、コイツの言うことを聞いてしまったのが凄く嫌で、舌打ちを小さくした。







「学校久しぶりだな…」


来夢はそう言って嬉しそうに校門前へと走っていく。
冬威は周りの学生達に睨みながらも校門前へと急いでいく。


「バイトで行けなかったからね…一週間くらいサボ…」

「らいむ!」

「ん?」

「らいむ…?」

「らいむ!!」

「あ…あい……う、うわぁぁぁ」


呼ばれ振り向き誰かとわかった瞬間抱きつかれた。
抱きついた人物はそのまま地面へと押し倒しそしてまだ抱き締めている。


「お前おじさん死んでから学校来ないから何かあったのかと思った…」

「…愛斗その…」

「それか落ち込んでるのかと…」

「だから…」

「らいむ!困った事があったらオレに言え。らいむの為だったら何でもしてやる。なんなら学費も…」

「愛斗降りて!」


校門前で押し倒され周りの視線…特に冬威の視線が痛い。
愛斗はやっと気付いたらしく起き上がり、僕も立った時に次は倒れないようにとまた抱きつかれる。


「愛斗…そのちょっと色々あっただけだから…心配しないでよ」

「らいむ…」

「…愛斗抱きつくのはいいがもういい加減離れろって」

「あ…」


愛斗の頭をぺこんと鞄で叩いた。
愛斗は叩かれ、僕から離れたが叩いた人物を睨む。


「押し倒すくらい好きなのはわかってるけど時と場所を考えろって」

「…ソウ…」

「そーちゃん…」


よっと挨拶した後そーちゃん…ことソウガは僕の頭を撫でる。
撫でられ、あははと笑った後に冬威と会い彼らは初対面だったとやっと気付く。


「冬威ごめん!紹介してないね!」

「はっ?」

「…冬威?」


愛斗が不機嫌な顔になったが僕は気付く事なく話していく。


「こっちの黒髪の方は矢吹愛斗…僕の親友なんだ。無愛想だけで頼りになるしモテるんだよ」

「…愛斗挨拶」

「…矢吹愛斗だ」


ソウガにいわれ嫌々愛斗は挨拶をした。
冬威は興味ないのか返事を返さず聞いてるのかわからないが次にソウガにいく。


「こっちは速風ソウガ…愛斗のお付きみたいので運動神経抜群で、いい奴なんだ。」

「ソウガだ。ソウって呼んでもらいむみたいに呼んでも好きに呼んでくれよな」


にこっと愛想よく笑うが、冬威は興味がないらしく返事をまた返さない。


「で…コイツは僕の…そのいとこの冬威。」

「来夢…いとこいたんだ」

「らいむのいとこか…顔似てるしな」

「…らいむの」

「…愛斗」

「……一応宜しく」

「ふん」

「…らいむ行くぞ。授業始まる」

「あ、待ってよ」


愛斗に手首を捕まれ教室に連れて行かれようとするが、冬威がまだ職員室へと連れて行ってないから手を離す。


「冬威職員室に連れて行かないと行けないから」

「職員室?」

「うん」

「…そっか…主人そういう事だ。先に行くぞ」

「わかった…来夢」

「何、愛斗?」

「後でな」

「うん」


愛斗はソウガと共に先に行く。
僕は彼らに手をふった後冬威に向き合う。


「じゃあ冬威職員室に…」

「そういう趣味なのか…」

「何が?」

「愛斗って男だ」

「え?愛斗が何?」

「同性…ま、お前に知られたら奴も嫌だろう。」

「何が?」


(愛斗が何?)

言い掛けられるほど気になる事はない。
彼から聞き出そうとするが答えてはくれなく、そのまま職員室へと二人は向かったのであった。

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あきゅろす。
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