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繋ぎ、繋ぐ物語


少女は城門の前に立った。程無くして、静かに門が開かれる。
女中に付き添われ、案内されたのは質素な離れだった。

「失礼致します。……竜様をお連れしました」

奥から返事が返ってくると、女中は障子を開けた。

少女は中へ入ると、部屋の奥に体格の良い男が座っているのを見つけた。

「おうっ、竜、待ちくたびれたぜ?」

男は片手を振り、少女を招き寄せた。

「……言われた通り来たぞ。約束通り、仕事は貰えるんだろうな」

「ああ、勿論だ。約束は守るぜ」

少女を竜と呼ぶこの男こそが、かの長曾我部元親。四国統一を成し遂げた張
本人である。

「んな硬くなるな。気楽に行こうぜ」

「嫌だ」

「……連れないな」

にべも無く突っぱねる竜に、元親は項垂れた。

「それより、早く仕事をくれ。長居はしたくないんだ」

「何だよ、そんな急かすなって。折角の平和だ。じっくり味わえ」

「くだらない」

再び、持ち上げかかっていた元親の頭が落ちる。

「……何でだ。
何でお前に言われるとこんな傷つく」

「同情でも煽ろうとしているのか?下手な芝居はやめておけ」

「しかも、傷口に塩をぬると来た」

「親切心だ。感謝しろ」

「……元就と相対している様な気分になってきた」

元親はしおれた様子で、書類を竜に渡した。

「仕事だな。これだ」

竜は、凡そ十四の娘が取るべきでない渋い顔で、書類を受け取った。





090424 更新


あきゅろす。
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