繰り返される恋3 ――…‥・・・ 「すみません。少し訪ねたいのですが・・・」 記憶喪失だと告げられた日、俺は亜依の母親の元に訪れた。 「あら、景吾君・・・・ごめんなさね。あなたの誕生日だったっていうのに・・・」 そこまで言うと亜依の母親は目を伏せ、ハンカチを目尻に当てた。 「その事でちょっと・・・。あの日、亜依は何か持っていませんでしたか?」 亜依の母親は何か思案するように視線をさ迷わせると、何か閃いたかのように目を見開き、ちょっと待っていてというと病室の棚を開けて何かを探し始めた。 「あの子ね、交通事故にあったとき、大切そうに胸に抱-いだ-いていた物があったの。はずそうとしても離さなくてね、麻酔をしてやっと離したのよ」 振り返ったその手には半分程血にまみれた少し大きめの袋が乗っていた。 「景吾君の誕生日プレゼントだって嬉しそうに話していたわ」 もらってくれるかしらといってその袋を俺の方に寄せてくる。 「ありがとうございます」 袋を受け取り、血が固まってぱりぱりになった袋を開ける。 「・・・・っ」 袋から出てきたのは紫色の手編みマフラー。 ――景吾は紫色が似合うと思うんだけど、景吾は紫色、好き?― 以前亜依に言われたことが頭をよぎる。 「・・・・っ。亜依!・・・・・」 ・・・‥…―― 今、亜依の側には氷帝テニス部の部員たちがよく通っている。 亜依も記憶を思い出そうとしている。 ***** なぁ、亜依 俺だって伝えたいことがあるんだ。 お前だけいい逃げなんて許さねぇよ。 お前を愛してんだ、亜依・・・・・ ***** 一年後の氷帝学園高等部のテニスコート 「みんなー。休憩の時間でーす」 長く伸びた髪を揺らした亜依が -*Fin*- ―あとがき― ごめんなさいっっっ スライディング土下座をさせていただきますっ(ズザァァァァァァ) せっかくの誕生日夢なのに・・・ ナニコレ!? あれ? 誕生日だよね なーんーでー 記憶喪失!? ほんとーにすみません ここまで読んでくれた亜依様、ありがとうございます 081003 |