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平凡と俺様の異世界冒険記
4
(主人公視点)

ーと、それから数日、こうして僕は保健委員という名目で、ことあるごとに呼び出されているんだ。


「今日も変わったことはなかったか?」

呼び出されるとき必ず聞かれる質問。僕になにかあるわけないのに。

「レオン先生に呼び出される以外は。」

「・・・ならいい。しかし気をつけろよ。この学院じゃあ」

「杞憂ってもんですよ。先生こそ、魔法とかむやみに使わないほうがいいんですから、気をつけてくださいよ。」

「分かってる分かってる。んじゃ、そこの書類ファイルしたら帰っていいぞ。」
「このためだけに呼び出すなんて!全く、」

文句を言おうとしたその時、

ーガラッ

「エセ保健医、少し休ませろ。・・・あぁ、夕もいたのか。」

やってきたのは、先輩だ。少しやつれた顔をしている。

先輩は、レオン先生が来てからよく保健室を利用してる。なんでも、生徒会の仕事が前より忙しいらしい。

保健室には、初日にレオン先生が何か言ったのか、ミーハーな生徒がやって来ないため、滅多に生徒がやって来ない。だから先輩が休みにきても、全く騒ぎにならないんだ。


「そういえば、もうすぐ雨月祭ってやつなんですよね?それで仕事忙しいんですか?」

今は5月の終わり。そして、6月の半ばに行われるのが雨月祭だ。


同室でもある直樹に教えてもらったところ、

雨月祭っていうのは、高等部が中心となって、学院全体で行われる、大規模なイベントだ。秋に行われる倉橋祭、所謂文化祭とは違い、完全に生徒が楽しむだけのもので、外部から有名な芸能人やらはたまた劇団やらを招いて、大講堂でライヴやら演劇やらを観たり学院全体で大規模鬼ごっこしたり、夜にはダンスパーティをするらしい。なんとまぁ金掛かりすぎなイベントだ。

新入生歓迎会の意味合いも強くて、中等部一年や高等部からの外部生は、 別の意味で危険があるらしい。その意味は、きっと腐男子直樹が喜ぶものなんだろう。

まぁ、平凡な僕には関係ないことだけど。

そして、今年は転校生が、その嫌な歓迎会のターゲットになることは間違いないと言われてる。

「まぁ、二日目の外部招待のほうは、全部決定してるから問題ないが、一日目にある生徒だけのイベントが厄介でな。」

「去年は鬼ごっこだったんですよね?」

直樹が興奮しながら説明してくれたから、印象に残ってる。

「そうだ。今年も同じだが、毎年問題が多発するからな。見回りを増やす予定だが、その取り決めで仕事が増えてんだ。」

「はぁ、大変なんですね。」

「そうだ。だから少し休む。まぁ雪路あたりは怒ってるだろうがな。」

雪路っていうのは、副会長のことだ。腹黒いって噂らしい。

そういって、先輩はベッドですぐに寝息をたてはじめた。本当に疲れてるみたいだ。

「本当に寝てしまうとは・・・。」

レオン先生が呆れた声を出す。

「さて、そしたら書類整理しましたし、僕は失礼しますね。」

「あぁ、またよろしく頼むぞ。」

「・・・はいはい。」

そして、僕がドアを開けようとしたとき、

ーガラッ

向こうから開いた。そして

「すっいませーん!!ここに賢一郎先輩はいますかー!?」

賢一郎とは、先輩の名前。会長である、先輩の名前を呼べる人物といえば、この学校で悪い意味で有名な・・・

「あぁ!君が澪だね?!」

「白衣ってことは保健医?」

「君には、レオンって名前で呼んでほしいな。」

「なんかホストみたいな先生だな!」

・・・噂の転校生だ。

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