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お決まりのレモン味
休日だけれどとくに用事もなく、例のごとく図書館にでも行こうかと考えていたときだった。

「ビリー!グラハム君から電話よー。」

母のその言葉に急いで電話のもとへと行き、受話器をとる。

「もしもし、グラハム?」
『ビリー、今からひまか?』
「うん。暇だけど…」
『ならば今すぐに私の家に来い。』
「え?」
『待っているからな。』

そして電話は一方的に切られた。





     お決まりの
      レモン味






「ねぇグラハム。もう九月なのに、なんでまたかき氷なんだい?」

いきなり呼び出されてなにかと思えば、かき氷を作るらしい。
グラハムは冷凍庫から氷を取り出し、かき氷機へとセットしている。

「九月だから、だ。母様がかき氷機をしまうと言うから、今年さいごのかき氷にビリーもさそってやったのだ。」

ありがたく思え、とグラハムは手動式のかき氷機のハンドルを一生懸命に回し始めた。
今時電動じゃないかき氷機なんて珍しい。
グラハムには大変そうだから、やろうかと言ったのだが、断られてしまった。
どうやら僕は見守るしかないみたいだ。

グラハムがハンドルを回す度、さらさらと細やかな氷が落ちてくる。
グラハムはハンドルを回しながら、机に顔をくっつけるように、落ちてくる氷をじっと見ていた。。
一生懸命なその姿が、すごく可愛い。

―― 多分、かき氷が食べたいというより、作りたかったんだろうな。





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