存在理由
いやだ……
ヤ
やめてくれ…っ…
ルヤ
撃ちたくないんだっ…!
「アレルヤっ!」
ばっと上半身を起こした。
隣には眼鏡を外し、シーツに身を包んだティエリア。
それを見て自分が夢を見ていたことを理解する。
これで何度目か。
誰かに銃口を向けて、自分の意思に背くように、勝手に指が引き金を引こうとするあの夢は。
無意識に手が頭を抱え込んだ。
僕の頭はどうかしちゃったんだろうか。
いや、ずっと前からどうかしてるのかもしれない。
「またあの夢か…?」
ティエリアの問いに頷きで答える。
夢なのに、リアルに思い出せる引き金を引く感触。
恐かった。
自分が恐かった。
あれは、ハレルヤではなく僕の意思なのか?
僕はあんな人間なのか?
今更何言ってんだよ
テロリストさんがよぉ
ハハッとハレルヤの笑い声が頭の中に響く。
違う違う違う違う…
僕はあんな人間じゃない。
僕はあんな人間じゃ…
「アレルヤ」
不意に右手を掴まれた。
ティエリアの冷たい両手が僕の右手を包む。
その冷たさが、さっきの銃の感触を忘れさせてくれる。
「…震え、止まったな。」
しばらくしてそう言われて、さっきまで自分が震えていたことに初めて気付いた。
ティエリアがおもむろに指を絡めてくる。
その手を見ながら言った。
何故だかティエリアの方を向くのは、できなかったから。
「僕は…僕らは…、この手で人を救っているのかな?亡ぼしているのかな?」
「……わからない。でも、一人を撃つことで百人が助かるのなら、俺はその一人を撃つ。ガンダムマイスターに課せられたのは、そういう使命だ。」
わかっている。
頭では理解しているんだけど、やっぱり気分がいいことではなくて。
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