[携帯モード] [URL送信]
二人なら大丈夫
「ぜってーこのアクション映画のほうがおもしろいって!」
「アクションなんて、ただ金をかけたCGで暴れまわって見せているだけだ。中身がない。こっちの洋画のほうが断然いい。」

文化祭が終わって一段落し、ティエリアと俺が一日中過ごせる休日だった。
朝からティエリアが来たが、久々に外出しようということになり、今こうして映画雑誌を開きながら話しているわけだが…
いっこうに見る映画が決まらない。
俺とティエリアの好みが違いすぎる。
というか、俺からしてみればアクション映画の良さがわからないコイツはどうかしてる。

「今日はこっち見ようぜ?俺はアクションって気分なんだよ。」
「残念ながら、俺はアクションって気分ではないな。むしろアクション以外ならなんでもいいくらいな気分だ。」
「それなら、僕この恋愛モノ見たいなぁー。」
「アレルヤ!おまっ…いつからそこに…」

俺とティエリアの隣にはいつの間にかアレルヤが座っていた。
ティエリアもその存在に気付かなかったらしく驚いたのか、言葉はない。
「ドア、少し開いてたから二人の声が外まで聞こえてくるんだ。まったく…痴話喧嘩するくらいなら、さっさと外に行ってくれたほうがマシだよ。あ…、そうだ。会長、アクション見たくないんだったら僕と映画見に行きません?僕は会長に合わせますよ。」
「アレルヤ!お前何言ってんだよ!」
「ハレルヤは少しくらいアレルヤの謙虚さを見習ったらどうなんだ。」
「なっ……!」

ティエリアはアレルヤに甘い。
最近は登校するときにアレルヤがついてきて、しかもアイツはやたらとティエリアと話そうとするもんだから、正直かなり腹が立つ。
アレルヤのせいで俺とティエリアが二人でいる時間が減ってるようなものなのに、ティエリアはいまだに『兄弟仲良く政策』を実行中らしい。
だからって、さすがに今日もアレルヤつきで外出だなんて勘弁だった。
でもこのままじゃ、そんな最悪な事態にもなりかねない。

「…ティエリア、行くぞ。」
「え、行くって…まだ見る映画決まってないだろう?」
「いつまでもここにいても埒が明かねぇだろうが。ならいっそ映画館行って決めりゃいいんだよっ!」

財布をポケットに押し込み部屋を出れば、ティエリアも渋々ついてきた。
家を出てしばらく歩き、性質の悪い弟がついてこないことを確認して、とりあえず少しムカつきが収まった。





.

→#

1/6ページ


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!