Happiest Birthday
もう春が近づいてきた頃だというのに今日は肌寒い。
夕飯は温かいもんにしようと決め、部屋のドアを開ければ
「おかえり、なさい。」
刹那がいた。
Happiest
Birthday
「お前っ、どうして……」
刹那が来るのはたいてい週末。
だが今日はたしか火曜日だ。
週末以外の日に俺が誘って刹那が来ることはあるが、俺の仕事の邪魔になるからと、刹那から来ることは一度もなかったのに。
「ごめん、…いきなり……夕飯食べたら、帰るから。」
イマイチ事態を飲み込めない俺を玄関に置いてけぼりにして、刹那は台所へと姿を消した。
刹那になにかあったんだろうか。
今日学校で見た限り、とくに変わった様子はなかったはずだが…
悶々と考えながらスーツを脱ぎ、ジャージに着替えて自室を出れば、テーブルの上には湯気がたつクリームシチューが。
「うまそー…」
「あと少しでできるから。座ってろ。」
『あと少しでできる』って、今日はシチューの他にもおかずがあるんだろうかと考えつつ、言われたとおり座って待つ。
目の前にあるクリームシチューの、うまそうな匂いが食欲をそそる。
しかし、さっきからこのクリームシチューに若干の違和感を覚える。
その違和感の正体を探っていれば
「誕生日、おめでとう。」
火を点したろうそくがたった小さなホールケーキを持って、刹那が現れた。
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